「商売をなめていました」 滋賀の大人気ラーメン店が東京に進出も直面した高い壁と理不尽。「地元にUターン」した今、店主が本音で語ること

✎ 1〜 ✎ 96 ✎ 97 ✎ 98 ✎ 99
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

こうして、「奏」は東京への移転を決め、2020年12月に閉店となった。最終日には2時間半の行列ができたという。

東京・駒込に移転した「奏」(筆者撮影)

そして2021年2月に東京・駒込で「奏」は再オープンした。東京でもなかなか食べることのできないタイプの鶏白湯ラーメンを提供していたこともあり、注目が集まった。『TRYラーメン大賞』では新人賞のMIX部門1位を獲得した。

「評価はされましたが、思ったよりも根付くのに時間がかかるなと感じていました。東京ならばもう少し早くお客さんが集まるイメージがあったのですが、オープン景気が終わってすぐにドーンと売り上げが落ちて、その後ゆっくり上がっていく感じでした。

アルバイトも採用し、営業時間も伸ばすことで少しずつ売り上げが伸びていき、これから安定していくだろうというときに“立ち退き”の話が出てきてしまったんです」(秦さん)

常連もついてきた中で、オーナー都合で立ち退きに…

テナントのオーナーが高齢で病気になってしまい、身内もいなかったため、物件を不動産会社に売却したことで、そこにマンションを建設するという話が出てきてしまった。

秦さんにとってはまさに青天の霹靂で、補償等について弁護士を立てて話し合いを行ったが、結論は立ち退いてほしいということになってしまった。

「せっかく近隣のお客さんもついてきたのに、立ち退きを前提に営業を続けるのはかなりしんどかったです。

開店からまだ1年も経っていない段階でのお話だったので、運がないのではないかと落ち込みました。閉店して滋賀に戻ろうかという話も出ていて、滋賀の物件も探していたぐらいです」(秦さん)

駒込の地で愛され始めた頃に、移転することに。近隣で物件が見つからず、蒲田に移ることになった(筆者撮影)

駒込付近で物件を探してもなかなか出てこず、広い範囲で探すもなかなか決定にこぎ着けなかった。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事