こうして、「奏」は東京への移転を決め、2020年12月に閉店となった。最終日には2時間半の行列ができたという。

そして2021年2月に東京・駒込で「奏」は再オープンした。東京でもなかなか食べることのできないタイプの鶏白湯ラーメンを提供していたこともあり、注目が集まった。『TRYラーメン大賞』では新人賞のMIX部門1位を獲得した。
「評価はされましたが、思ったよりも根付くのに時間がかかるなと感じていました。東京ならばもう少し早くお客さんが集まるイメージがあったのですが、オープン景気が終わってすぐにドーンと売り上げが落ちて、その後ゆっくり上がっていく感じでした。
アルバイトも採用し、営業時間も伸ばすことで少しずつ売り上げが伸びていき、これから安定していくだろうというときに“立ち退き”の話が出てきてしまったんです」(秦さん)
常連もついてきた中で、オーナー都合で立ち退きに…
テナントのオーナーが高齢で病気になってしまい、身内もいなかったため、物件を不動産会社に売却したことで、そこにマンションを建設するという話が出てきてしまった。
秦さんにとってはまさに青天の霹靂で、補償等について弁護士を立てて話し合いを行ったが、結論は立ち退いてほしいということになってしまった。
「せっかく近隣のお客さんもついてきたのに、立ち退きを前提に営業を続けるのはかなりしんどかったです。
開店からまだ1年も経っていない段階でのお話だったので、運がないのではないかと落ち込みました。閉店して滋賀に戻ろうかという話も出ていて、滋賀の物件も探していたぐらいです」(秦さん)

駒込付近で物件を探してもなかなか出てこず、広い範囲で探すもなかなか決定にこぎ着けなかった。
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