『科学的根拠で子育て』著者が指摘する「ゲームをやめさせれば勉強するようになる」は勘違い

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窪田:将来的に、自分で自分をコントロールできるようになるためにも、子供のうちからある程度は親が管理することも大切なのですね。

子供たちの“体験”を支援するプロジェクト

窪田前回、高校授業料の無償化や公立校の単願制の廃止など、教育格差をなくすための取り組みについて話を伺いましたが、中室先生は「子供の体験格差解消プロジェクト」の発起人でもあります。私も応援している活動なのですが、これはどんな思いで始められたのですか?

中室:私が経済学の研究者として一番やりたいことは、困難を抱える子供たちがさまざまな体験の機会を得て、教育格差の犠牲にならない社会を作っていくことです。

子供の体験格差解消プロジェクトでは、協力企業や皆さまからの寄付金によって、子供たちが自然・文化・社会と触れ合う体験を届ける活動をしています。2022年には新潟県越後妻有で開催される国際芸術祭と連携し、経済的困窮や不登校などの状況にある中高生を無償で招待する2泊3日の宿泊型体験プログラムを実施しました。

窪田:子供たちにとっては学習環境だけでなく、そうした“遊び”の体験も大切ですよね。

中室:本当にそう思います。学習については、経済的に苦しいご家庭の子供向けに行政やNPOが無料で提供しているものもあるのですが、体験については、途端に「娯楽」「贅沢」とレッテルを貼られて、支援から外されてしまう。でも、幼少期にいろいろな体験をしておくことは、認知能力、非認知能力の両方を育てるためにもとても大切なことです。私たちの活動によって少しでもそのお手伝いができたらと思っています。

窪田:私自身、子供時代に出会った人の影響で人生が変わった経験をしているので、このプロジェクトの意義を実感しています。1人でも多くの子供たちが幸せになれる社会が実現してほしいですね。

中室先生、今回は子供たちの教育に関わる貴重なお話をありがとうございました。

(構成:安藤梢)

中室 牧子 慶応義塾大学総合政策学部教授

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なかむろ まきこ / Makiko Nakamuro

慶応義塾大学総合政策学部教授
1998年慶応大学卒業。米コロンビア大学で博士号取得(Ph.D.)。日本銀行等での実務経験を経て、2019年から現職。デジタル庁シニアエキスパート。専門は教育経済学。

 

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窪田 良 医師、医学博士、窪田製薬ホールディングスCEO

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くぼた りょう / Ryo Kubota

慶應義塾大学医学部卒業。慶應大医学部客員教授、米NASA HRP研究代表者、米シンクタンクNBR理事などを歴任。虎の門病院勤務を経て米ワシントン大学助教授。2002年創薬ベンチャー・アキュセラを創業。2016年窪田製薬ホールディングスを設立し、本社を日本に移転。アキュセラを完全子会社とし、東証マザーズに再上場。「エミクススタト塩酸塩」においてスターガルト病および糖尿病網膜症への適応を目指し、米FDAからの研究費を獲得し研究開発を進めているほか、在宅医療モニタリングデバイスや、ウェアラブル近視デバイスの研究開発を行っている。

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