中室:たしかに、1日10時間外で過ごしなさいと言われたら大変ですが、合計2時間だったら工夫次第で無理ではないですね。
窪田:ゲームだけが目に悪影響があるわけではありませんが、とはいえやはりやり過ぎはよくありません。認知心理学の世界でも、泣いている子供にタブレットで動画を見せ続けていると、外的な刺激がなければ自分の情緒をコントロールしにくい人になってしまうといったエビデンスも出てきています。
中室:私たちの研究でも、ゲームの時間が長くなりすぎると悪影響が出ることが分かっています。1日に1時間程度だったら、ゲームを全くしない子供と変わりませんが、1日2時間を超えると負の影響が飛躍的に大きくなります。これはテレビの視聴でも同じです。
逆に言うと、1時間程度であれば息抜きになりますし、罪悪感を持つ必要はありません。
窪田:何事もバランスですよね。ゲームをやることで伸びる能力もあると思いますし、将来、ゲームクリエーターになる人や、プログラミングを学ぶ人にとっては、ゲームをする時間が大事かもしれない。ただ、その分、近視や発達、学習への影響などトレードオフがあるので、それを考えながらバランスをとるといいのではないでしょうか。
規則正しい生活ができる子供は、学力が高い傾向に
中室:テレビやゲームの時間をどうするか以外に、時間の使い方のコントロールは、小さな子供のうちからトレーニングしておくとよいと思います。何時までに何をするのか、日々の生活習慣を決めて、けじめをつけて過ごすことは、すごく大切なスキルなんです。
例えば、お風呂に入る時間は何時、夕食は何時から、と親が子供に対して時間をしっかり決めて介入していると、子供はきちんとした生活習慣が身に付き、その結果、学力が高くなったという研究があります。
窪田:生活習慣が学力に影響しているとは興味深い。
中室:家庭環境の重要さは、親に経済力があるかどうかだけではなく、生活習慣の管理をしてあげているかが重要だと分かっています。何時に何をしてもいいというように、子供の好きに任せるのは、特に学齢が小さいうちはやめておいたほうがよいと思います。