日本発の「政策提言AI」が警告! 「地域分散」か「グリーン成長」か 「地球社会の未来シナリオ」は「2034年までの選択」がカギを握る

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地球レベルでの環境に関して望ましい未来に向かうか否かの分岐は2034年頃までの早い時期に生じる(画像:metamorworks/PIXTA)
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気候変動や紛争など、地球社会はかつてない危機に直面している。このような状況において、AIは未来を予測し、解決策を提示できるのか。
科学と資本主義の未来:──〈せめぎ合いの時代〉を超えて』著者の広井良典氏が、独自の「政策提言AI」が導き出した、2050年に向けた7つの未来シナリオとその分岐点、そして私たちが目指すべき道筋について解説する。

AIは「未来」の予測ができるのか

気候変動や生態系の劣化、経済格差の拡大と分断、紛争・戦争の頻発など、現在の地球社会がかつてない重大な危機に直面していることはあらためて言を要しないだろう。地球環境の有限性に関する「プラネタリー・バウンダリー」をめぐる議論も活発化している。

科学と資本主義の未来: <せめぎ合いの時代>を超えて
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一方、生成系AIをはじめとして、AI(人工知能)の進化は近年目覚ましく、その適応領域は飛躍的に広がっている。

それでは、上記のように困難をきわめる地球社会の今後や、優先的に行っていくべきアクションについて、AIを使って何か手がかりやヒントが得られないのだろうか。AIがそれほど“優秀”なのだとすれば、現在の社会が直面するこのようなテーマあるいは「難題」にこそAIは活用されるべきではないか。

手前味噌になるが、実はまさにそうした研究を私たちのグループはここ10年近く進めてきた。

すなわち、私(広井)を代表とする京都大学の研究者と日立製作所・日立未来課題探索共同研究部門(日立京大ラボ)の研究チームは、AIを活用した未来シミュレーションと政策提言に関する技術――「政策提言AI」または「未来シナリオシミュレーター」と命名している――を共同研究により開発し、「AIを活用した、持続可能な日本の未来に向けた政策提言」(2017年9月)を公表した(概要はウェブサイト「AIの活用により、持続可能な日本の未来に向けた政策を提言」参照)。

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