日本発の「政策提言AI」が警告! 「地域分散」か「グリーン成長」か 「地球社会の未来シナリオ」は「2034年までの選択」がカギを握る

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生成した2万通りのシナリオが経過時間ごとに分岐する今回のシミュレーションは、こうしたモデルをベースとしつつ、確率論的な方法を用いて多様な未来とそのクラスタリング、および時系列的な分岐構造を明らかにすると同時に、各シナリオに至るために重要となる要因を定量的に分析し明示するという内容のものである。

AIシミュレーションが示す未来の時系列的な分岐パターン
AIシミュレーションが示す未来の時系列的な分岐パターン(左側から右側にかけて、現在から未来への流れ。筆者ら作成)

ちなみに近年、「フォアキャスト」(未来予測)と並んで「バックキャスト」、つまり「ありたい未来を設定してそれに向かうには何が重要かを明らかにする」ことが折にふれて議論されているが、今回行った私たちのシミュレーションは、フォアキャストとバックキャストを総合化したものということもできる。

地球社会の7つの未来

議論を急ごう。シミュレーション結果として、地球社会の未来は、2050年に向けて大きく以下のような7つのシナリオ(実現可能性のある地球社会の姿)に段階的に分岐することが示された。すなわち、

①環境・経済・社会そして国際紛争等の多元的な側面において比較的良好なパフォーマンスを示す
地域分散・成熟シナリオ (シナリオ1)
グリーン成長・協調シナリオ (シナリオ2)
②プラス面とマイナス面の複合的性格をもつ
ウェルビーイング・環境配慮不足シナリオ (シナリオ4)
経済成長至上シナリオ (シナリオ6)
③気候危機や紛争、先進国と途上国の分断など、破局的な事態に至る
気候・紛争ダブル危機シナリオ (シナリオ3および5)
二極化シナリオ (シナリオ7)

の7つである。このように、2050年に向けて地球社会は互いに大きく異なる“多様な未来”に至る可能性をもっているといえる。

地球社会の未来シナリオと分岐構造(筆者ら作成)
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