日本発の「政策提言AI」が警告! 「地域分散」か「グリーン成長」か 「地球社会の未来シナリオ」は「2034年までの選択」がカギを握る

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これら7つのシナリオのうち、CO2排出ないし温暖化など地球全体の環境面において比較的良好なパフォーマンスを示すのは「地域分散・成熟シナリオ」(シナリオ1)、「グリーン成長・協調シナリオ」(シナリオ2)および「二極化シナリオ」(シナリオ7)の三者であり、これらに関連する分岐は2034年頃までの比較的早い時期に生じることが示された。すなわち、

(1)最初の分岐は2029年頃で、このときに「二極化シナリオ」(シナリオ7)とそれ以外のシナリオの分岐が生じる。

「二極化シナリオ」は地球全体の環境パフォーマンスにおいては好ましいものだが、このシナリオは途上国が経済発展から取り残され、先進国との間に大きな格差ないし分断が生じるシナリオ――言い換えれば先進国が地球全体の資源・環境の主要部分を独占するようなシナリオ――であり、地球社会全体のあり方として望ましいとは言いがたい。

この二極化シナリオを回避するには、先進国が化石燃料使用量や一人当たりエネルギー消費量の削減など、環境を重視した対応を早急に進めるとともに、途上国における一人当たりGDP増加や社会インフラ整備など、途上国の経済発展を促すような対応を積極的に行うことが重要であることが示された。

2032年の分岐点

(2)次の分岐は2032年頃で、このときに「地域分散・成熟シナリオ」(シナリオ1)とそれ以外のシナリオとの分岐が生じる。

「地域分散・成熟シナリオ」は、経済面では成長が鈍化する一方、地球全体のCO2排出量など環境面では(シナリオ2、7と並び)最も良好なパフォーマンスを示すと同時に、国際的な紛争が全シナリオの中で特に大きく減少するシナリオとなっている。

社会的側面での課題は残るものの、先進国・途上国間の国際格差は減少し、全体としては地球上の各地域がいわば“自律分散的”な均衡と平和を実現していく方向であり、有力な未来像の一つと考えられる。

このシナリオに進むには、先進諸国における少子化対応や格差是正、途上国における研究投資や人口対策、医療アクセス改善などを含む社会政策的な対応が特に重要であることが示された。

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