日本発の「政策提言AI」が警告! 「地域分散」か「グリーン成長」か 「地球社会の未来シナリオ」は「2034年までの選択」がカギを握る

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(3)第三の分岐は2034年頃で、このときに、「グリーン成長・協調シナリオ」(シナリオ2)とそれ以外の分岐が生じる。

「グリーン成長・協調シナリオ」は、先進国・途上国ともに経済発展が持続するとともに、地球全体のCO2排出も減少し、かつ(シナリオ1と同様に)先進国・途上国間の国際格差は減少する比較的良好なシナリオである。

ただし、先進国の国内レベルで格差の拡大が見られたり、国際紛争は微減にとどまるなど、課題も残る姿となっている。

この「グリーン成長・協調シナリオ」に向かうためには、途上国における労働生産性向上や公共・インフラ投資、研究投資などのほか、世界全体のソーシャル・キャピタル(協調性)、すなわち国際的なレベルでの協力的意識・行動が際立って重要であることがシミュレーションにおいて示された。

(4)以上に述べた分岐以降は2038年、2046年、2047年頃にさらなる分岐が生じ、残るシナリオが派生していくことが示されたが、これらは、

〇「経済成長至上シナリオ」(シナリオ6)・・・先進国・途上国ともに高い経済成長を果たすが、地球全体のCO2排出が最も増加するなど環境悪化が進むとともに、先進国のウェルビーイング等も不良なシナリオ
〇「気候・紛争ダブル危機シナリオ」(シナリオ3および5)・・・先進国が低成長となる一方で途上国は高い経済成長を果たすが、有限な資源・環境をめぐって紛争激化と環境危機が同時進行するシナリオ
〇「ウェルビーイング・環境配慮不足シナリオ」(シナリオ4)・・・経済が成熟する一方で人々のウェルビーイングは高まるが、地球全体のレベルで環境悪化が進むシナリオ

という、いずれも望ましい未来像とは言いがたい内容となっている。

「地域分散」か「グリーン成長」という2つの選択肢

以上がシミュレーション結果あるいは地球社会の未来シナリオの分岐構造だが、全シナリオの中で相対的に望ましい未来像を示していると考えられる、「地域分散・成熟シナリオ」(シナリオ1)と「グリーン成長・協調シナリオ」(シナリオ2)を比較した場合、どのような対比が可能だろうか。

次のような理解ができると思われる。すなわち、「グリーン成長・協調シナリオ」(シナリオ2)は、一定の環境配慮とともに経済のグローバル化が一層進展していくシナリオであり、経済・環境面での比較的良好なパフォーマンスの反面、先進国内の格差や国際紛争などの課題が残る社会像となっている。

そしてそうであるがゆえに、上述の「世界全体のソーシャル・キャピタル(協調性)」すなわち国際的なレベルでの協力的行動が特に重要なカギとなる。

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