フェルメールの熱狂から追体験する、これまでの常識や固定観念にとらわれないプロダクト創り

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マウリッツハイス王立美術館
私たちのビジネスに、フェルメールほどの「熱狂」はあるのでしょうか?(写真:koko/PIXTA)
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私たちは、ユーザーや顧客を夢中にするほどのプロダクトを創れているだろうか。継続的に支払いたくなるほど粘着性のあるサービスはあるか。そうでないとすれば、何を頼りに変革を進めるべきか。
経営学者の川上昌直氏は、近著『熱狂的ビジネスモデル』で、アートとそれにまつわるアーティストの態度から価値創造にアプローチしている。湧き上がる熱狂から、創り手自身と未来のユーザーに向けてまったく新しい価値を創造する「ビジネスアートマインドセット(BAM)」という独自の概念を提唱する。
以下では、オランダの画家・ヨハネス・フェルメールの「熱狂」にスポットをあて、「アートマインドセットが今のビジネスにこそ求められている理由」についても解説していく。

常軌を逸した光の探究は、フェルメールの「熱狂」のなせる技

前回の連載では、「動」の光を追い続けた印象派の画家、クロード・モネを取り上げました。今回は「静」の光を探究し、「光の魔術師」の異名をほしいままにした、オランダの画家・ヨハネス・フェルメール(1632~75)を取り上げます。

『熱狂的ビジネスモデル: アートが見せる価値創造の未来』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

フェルメールが世界中で称賛されるようになったのは、20世紀に入ってから。日本でも熱烈なフェルメールファンが多いのは周知の事実です。

筆者は幸運にも、2023年にアムステルダム国立美術館で開催された史上最大規模のフェルメール展を訪れる機会に恵まれました。フェルメールの現存作品数は、わずか三十数点と寡作ですが、そのうち28点も一堂に集まる貴重な展覧会でした。

フェルメールが繰り返し描いたのは、派手な歴史でも物語でもなく、穏やかな日常生活における何気ないひととき。さらに、静謐な室内に差し込む柔らかな光の美しさが際立っていると改めて感じました。

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