フェルメールの熱狂から追体験する、これまでの常識や固定観念にとらわれないプロダクト創り
「静」の光をどのように画面に定着させるか? 彼は生涯をそれに捧げました。これこそがまさにフェルメールの「熱狂」であり、その熱量に鑑賞者もまた「熱狂」する。両者の関係性がくっきりと浮かび上がるのです。
緻密な光の演出は、絵画表現におけるイノベーション
ごく日常の穏やかな光景なのに見る者を魅了してやまないのは、彼の光に対する徹底的なこだわりがあるからです。
《窓辺で手紙を読む少女》には、「ポワンティエ」と呼ばれる「感覚」が見られます。
これは、白い点描によって光の反射を表現するやり方でフェルメール独自のものとされています。手紙を読んでいる少女の手元を見ると、光の白い粒を点在させることで、実際に太陽が差し込んでいるようなリアリティが生まれています。

《牛乳を注ぐ女》でも、「ポワンティエ」は見て取れます。
この作品では、画面左側の窓からやわらかい自然光が差し込み、女性の腕や注がれる牛乳の壺の縁や、テーブルに置かれたパンの表面にごく小さな白い粒が確認でき、光が繊細に反射しているかのように見えます。

当時、ここまで緻密に光を捉えようとしたこと自体が、絵画表現におけるイノベーションそのものでした。だからこそ、人々は「見たことのない光」に心を奪われ、感銘を受けたのです。
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