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フェルメールの熱狂から追体験する、これまでの常識や固定観念にとらわれないプロダクト創り

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「静」の光をどのように画面に定着させるか? 彼は生涯をそれに捧げました。これこそがまさにフェルメールの「熱狂」であり、その熱量に鑑賞者もまた「熱狂」する。両者の関係性がくっきりと浮かび上がるのです。

緻密な光の演出は、絵画表現におけるイノベーション

ごく日常の穏やかな光景なのに見る者を魅了してやまないのは、彼の光に対する徹底的なこだわりがあるからです。

《窓辺で手紙を読む少女》には、「ポワンティエ」と呼ばれる「感覚」が見られます。

これは、白い点描によって光の反射を表現するやり方でフェルメール独自のものとされています。手紙を読んでいる少女の手元を見ると、光の白い粒を点在させることで、実際に太陽が差し込んでいるようなリアリティが生まれています。

フェルメール《窓辺で手紙を読む少女》(1657~59年)(所蔵:アムステルダム国立美術館所蔵、画像:Wikipedia[Public Domain])

《牛乳を注ぐ女》でも、「ポワンティエ」は見て取れます。

この作品では、画面左側の窓からやわらかい自然光が差し込み、女性の腕や注がれる牛乳の壺の縁や、テーブルに置かれたパンの表面にごく小さな白い粒が確認でき、光が繊細に反射しているかのように見えます。

フェルメール《牛乳を注ぐ女》(1657年頃)(所蔵:アムステルダム国立美術館、画像:Wikipedia[Public Domain])

当時、ここまで緻密に光を捉えようとしたこと自体が、絵画表現におけるイノベーションそのものでした。だからこそ、人々は「見たことのない光」に心を奪われ、感銘を受けたのです。

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【新しい色彩「ウルトラマリン・ブルー」】

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