ゴーガンとジョブズに共通する現実歪曲。熱狂をもたらす「内的必然性」とは?

ビジネスに求められているのは、創り手の「熱狂」です。創り手自身がまず熱狂することで、出来上がるプロダクトにも熱狂が宿る。それなしに、ユーザーを熱狂させることなどできません(写真:みやすん/PIXTA)
私たちは、ユーザーや顧客を夢中にするほどのプロダクトを創れているだろうか。継続的に支払いたくなるほど粘着性のあるサービスはあるか。そうでないとすれば、何を頼りに変革を進めるべきか。
経営学者の川上昌直氏は、近著『熱狂的ビジネスモデル』で、アートとそれにまつわるアーティストの態度から価値創造にアプローチしている。湧き上がる熱狂から、創り手自身と未来のユーザーに向けてまったく新しい価値を創造する「ビジネスアートマインドセット(BAM)」という独自の概念を提唱する。
以下では、フランスの画家・ポール・ゴーガンに「熱狂」をもたらした「内的必然性」にスポットをあて、アップル創業者のスティーブ・ジョブズとの共通点について探っていく。
創造への衝動は、現実を書き換える力を持つ
今、ビジネスに求められているのは、創り手の「熱狂」です。
創り手自身がまず熱狂することで、出来上がるプロダクトにも熱狂が宿る。それなしに、ユーザーを熱狂させることなどできません。
ならば、熱狂させ続けるプロダクトとは、いかなるものか。筆者の近著『熱狂的ビジネスモデル』では、ワシリー・カンディンスキーの一文「熱狂→感覚→アート作品→感覚→熱狂」からインスピレーションを得て「アートマインドセット」として体系化しました。
アーティストの内面から湧き出る「熱狂」は、その「感覚」を通して「アート作品」となります。その後「アート作品」を見た鑑賞者は、自身の「感覚」を通じて「アート作品」から何かを感じ取り、アーティストやアートについて深く探求し、アーティストが感じた「熱狂」を追体験することになります。ここで肝心なのは、「まず創り手の熱狂ありき」という点です。
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