会社の部品にならない「新種の老人」という生き方 スープストック創業者が思い描く理想の今後

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遠山 正道(とおやままさみち)/1962年生まれ。慶応大学商学部卒業後、1985年三菱商事入社。都市開発事業部や情報産業部門に所属。1997年日本ケンタッキー・フライド・チキン出向、1999年スープストックトーキョー開業。翌年、三菱商事初の社内ベンチャー企業スマイルズ設立、代表取締役社長。多彩な事業を運営しつつ、個人では2021年東京ビエンナーレ出展も。(撮影:尾形文繁)
スープ専門店チェーン「スープストックトーキョー」開業前の35歳から、今年1月60歳になるまでの25年、月刊誌『味の手帖』に連載したコラム200本を収めた1冊『新種の老人 とーやまの思考と暮らし』。手がけてきた事業はそれぞれ後進に託し、現代アート分野へ軸を移して活動を続ける実業家、遠山正道氏が思い描く、今後のこと。

コロナはむしろチャンスになると思った

──毎回異なる趣向で、食や旅、出会い、何かの決意あり、妄想あり。とくに妄想は、独自の美意識を映した光景から究極のグロテスクまで。とにかく、鮮烈でした。

へえ、面白そう、全然覚えてない(笑)。書いたときはめちゃめちゃお気に入りだったんだろうね、その妄想。大抵オチなど考えずに、オモロッと思うと書き出してましたね。33歳で絵の初個展を開いてはいたけど、文章は未経験の一サラリーマンだった。声をかけてもらえて、当時はうれしかった。

連載3年目に「スープストックトーキョー」1号店を出すんですけど、その企画書は「共感」が1つのテーマになっていて、われわれが作って提供するスープに共感してもらえたらと思った。ビジネスの前に、まず自分たちの思考や好み、センスがあって「自分はこういう生き物です」と発していく。それはコラムも一緒でした。

──コロナが蔓延し出した一昨年春には「『かつて』は戻ってこない。いや戻してもいけない」と。

これまでを見直す、新たな発想を得る、新しい活動に打って出る、むしろチャンスになると思った。企業・組織という枠から、個人単位の幸せや生きがい、本当に必要な価値を探るいい機会だと。ビジネスもGAFAのように1人の思いつきや感性が起点となる時代。日本が得意としてきた団体戦から、個人戦へスポットライトが移り、1億人いたら1億人にチャンスがある。お声がかかったらバンバン動けるようにしておかないとね。

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