コロナはむしろチャンスになると思った
──毎回異なる趣向で、食や旅、出会い、何かの決意あり、妄想あり。とくに妄想は、独自の美意識を映した光景から究極のグロテスクまで。とにかく、鮮烈でした。
へえ、面白そう、全然覚えてない(笑)。書いたときはめちゃめちゃお気に入りだったんだろうね、その妄想。大抵オチなど考えずに、オモロッと思うと書き出してましたね。33歳で絵の初個展を開いてはいたけど、文章は未経験の一サラリーマンだった。声をかけてもらえて、当時はうれしかった。
連載3年目に「スープストックトーキョー」1号店を出すんですけど、その企画書は「共感」が1つのテーマになっていて、われわれが作って提供するスープに共感してもらえたらと思った。ビジネスの前に、まず自分たちの思考や好み、センスがあって「自分はこういう生き物です」と発していく。それはコラムも一緒でした。
──コロナが蔓延し出した一昨年春には「『かつて』は戻ってこない。いや戻してもいけない」と。
これまでを見直す、新たな発想を得る、新しい活動に打って出る、むしろチャンスになると思った。企業・組織という枠から、個人単位の幸せや生きがい、本当に必要な価値を探るいい機会だと。ビジネスもGAFAのように1人の思いつきや感性が起点となる時代。日本が得意としてきた団体戦から、個人戦へスポットライトが移り、1億人いたら1億人にチャンスがある。お声がかかったらバンバン動けるようにしておかないとね。
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