「円安批判」するトランプ氏に伝えたい日本の実情 サービス赤字と対米投資で貢献する「仮面の黒字国」

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日本の対米貿易黒字と円安に業を煮やしたトランプ氏が、「追加関税」で日本をこらしめる――そうなる前に経常収支の内実を伝えたほうがいい。

安倍元首相は日本がアメリカ経済に貢献していることを説いていた(2019年5月、写真:Bloomberg)
※本記事は2024年11月16日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

トランプ氏のアメリカ大統領再選が日本経済に与える影響はさまざまな切り口から議論されるが、やはり最も現実的な論点として注目されるのは通商分野での関係性悪化である。

トランプ再来で市場が描く為替の"未来予想図"」でも述べたように、いくら大統領が騒いだところでアメリカの物価・金利環境が強含んでいる以上、ドル高の裏返しとしての円安(だけではなくその他通貨安)が修正される余地はない。その物価・金利環境の強含みを促すのがほかならぬトランプ氏なのだから救いもない。

結果、第2次トランプ政権の4年間でも、円安と日本の対米貿易黒字が状況証拠として残り、その因果関係を指差しながらトランプ氏が日本との不公平な貿易関係に不平不満を重ねてくるはずである。

後述するように、円安が修正されないことに腹を立てたトランプ氏が着想するのは、高い確率で追加関税という一手なのだろう。

「円安のせいで煮え湯」がトランプ氏の脳内

今回の大統領選挙でも円安批判は散見されてきた。

例えば今年4月、約34年ぶりの円安水準となった円の対ドル相場に関し、トランプ氏はSNS上で「アメリカにとって大惨事(a total disaster)」と投稿して話題を集めた。

さらに、同氏はドル高に関し「愚かな人々にとっては聞こえがいいが、アメリカ国内の製造業はドル高で競争できなくなっており、ビジネスの多くを失ったり、外国に工場を建設したりすることになる」と述べた上で、バイデン大統領がこの状況を看過しているとの批判を展開した。

なお、7月にはメディアに対するインタビューで「強いドルに対して弱い円、弱い(中国の)人民元は今や強烈で、私たちは大きな通貨問題を抱えている」「(ドル高の結果)アメリカ企業がトラクターなどの品目を国外で販売しようとするのにとてつもない障害になっている」などとも述べている。

こうした言動からも明らかなように、基本的にトランプ氏の脳内は「円安はドル高の裏返しであり、アメリカの製造業が煮え湯を飲まされている」という価値観が根付いている。

そうした価値観は自身の政治戦略も相まって半永久的に変わらないであろうから、今後、同種の発言はおそらく繰り返されるはずだ。

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