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一党支配の正統性の由来を問うて考える中国政治 支配を説明してきた条件が変わる不確実な時代

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高度成長と社会安定を達成してきた実績が色あせる中での中国政治の行方を考える。

経済成長や社会安定を支えた国際環境でも中国は試練に直面する (写真:Doug Mills/The New York Times)

中国共産党による一党支配の正統性はどこから来るのか。その支配の安定や存続をめぐる問題を考えるとき、これほど根源的な問いはない。一般的には、経済成長と社会安定の持続、そして国際社会における影響力の上昇といった、執政の実績に対する支持にあると理解されている。

まさに経済成長、社会安定、国際環境の3点は中国政治の行方を考えるに当たっての重要な論点だ。

しかし、実績への支持と支配の正統性は別物だ。支配の正統性とは、その政治権力への服従は道義的に正しい、という人々の観念によって生まれる。指導部の実績を認めたとしても、それが支配に対する同意を意味するわけではない。

摩耗しつつある「実績の正統性」

執政の実績への支持が、その政治権力は自分達の社会にふさわしいという了解を醸成し、結果として支持が正統性に転化することはある。「実績の正統性」という。

ただし支配の正統性があって執政の実績が集まれるのであって、「実績の正統性」という考え方では、実績と支配の因果関係の問題を見落としてしまう。支配の正統性とは、実績が悪くても支配に同意するのはなぜかという問いだ。

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