革新をもたらすスタートアップ企業だが、彼らの資金調達先が変わりつつある。
少し前のことだが、9月12日付の英紙フィナンシャル・タイムズは、2018年には5万件余りだった中国のスタートアップ企業の数が、2023年にはわずか1202件へ大幅に減少していると報じた(「中国はどのように民間部門を『締め付け』たのか?」)。
2021年に「共同富裕」のスローガンとともに行われたアリババやテンセントをはじめとするIT企業への締め付けは、起業家精神を損なうものだとの批判が集まっていた。同記事はその懸念を裏付けるものだとして、中国経済に関心を持つ者の間で話題になった。
国有銀行によるテック企業への融資が増えている
ただ、この記事が示す数字には注意が必要だ。数値の根拠となったデータベンダー、IT桔子のデータが示しているのはあくまでも「その年にVC(ベンチャーキャピタル)から出資を受けた企業」の総数であり、設立された新興企業の総数ではない。
前者が落ち込んでいることは間違いない。実際2018年から2022年まで年間平均140億ドルを投資していた中国国外のファンドは、2023年以降ほとんど投資を行っていない。しかしそれが、そのまま新規設立企業の大幅な減少を意味するわけではないことには注意が必要だ。
では、スタートアップ企業は現在、どのようにして資金を調達しているのか。この点に関して、10月3日付の米紙ウォールストリート・ジャーナルが興味深い記事を発表した。
従来、中国の国有銀行は、国有企業に比べて貸し倒れのリスクが高い民間企業、とくにスタートアップ企業への融資を避けてきた。しかし、同紙によれば、それらの企業に対しても、国有銀行が特許や商標を担保にして融資を行うケースが増えているという。
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