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低金利時代のツケ、粉飾を見抜けない審査の劣化 大手行の取引先でも安心してはいられない

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大手行が取引をしているから大丈夫──。そんな油断が落とし穴に。

環境経営総合研究所の看板
環境経営総合研究所は、約20年もの間、粉飾決算を続けていた(写真:編集部撮影)

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「金利ある時代」の到来は銀行業界にどのような影響を及ぼしているのか。本特集では、各行のデジタル戦略や、利上げがもたらす意外な影響などを深掘りしつつ、独自のランキングも交えて、銀行業界の最新動向を紹介する。

「税務申告書の決算書とは異なる内容の決算書をお取引金融機関の皆様にご提示しておりました」

8月8日、古紙パウダーを原料とするプラスチック代替品を手がける環境経営総合研究所(ERI、上写真)から、全国の金融機関にこうしたファクスが送られてきた。約20年もの間、秘密裏に行ってきた「粉飾決算」を告白した瞬間だった。

同社は2005年ごろからある投資家とトラブルになり、金銭を要求され始める。社員が身の危険を感じることもあったため、やむをえず投資家の要求に応じたが、金の無心は一度では終わらなかった。警察に掛け合ったものの解決には至らず、会社から流出した資金は50億〜60億円に達した。

その穴埋めの資金を銀行から引き出そうと、ERIは決算の粉飾に手を染める。実体のない売掛金や開発費を計上したほか、預金残高も操作。決算書もメイン行、準メイン行、その他の金融機関向けの3種類を作成していた。

そんな内情などつゆ知らず、多くの銀行は融資や社債を積極的に引き受け続けた。結果、ERIは9月30日に経営破綻。東洋経済が入手した内部資料によれば、8月時点で銀行団が抱える与信残高は子会社も含め180億円ほどに上っていた。

相次ぐ「粉飾倒産」

なぜ20年もの間、銀行は見抜けなかったのか。ある金融機関の関係者は、自戒を込めてこう吐露する。

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