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大手行で「緩みきった審査」が蔓延する根本理由 金融庁・総合政策局長が指摘する業界の問題点

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金融庁総合政策局長 屋敷利紀氏
屋敷利紀(やしき・としのり)/金融庁総合政策局長。1989年京都大学文学部卒業後、日本銀行入行。2018年に金融庁に転籍。2024年7月から現職(撮影:今井康一)

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「金利ある時代」の到来は銀行業界にどのような影響を及ぼしているのか。本特集では、各行のデジタル戦略や、利上げがもたらす意外な影響などを深掘りしつつ、独自のランキングも交えて、銀行業界の最新動向を紹介。本記事では、金融機関のモニタリングを担当する金融庁・総合政策局の屋敷利紀局長へのインタビューの拡大版を掲載する。
銀行にとって追い風とされる金利上昇だが、副作用もある。利払い負担に耐え兼ねた企業の倒産が増えることだ。低金利時代、利ザヤよりも貸出残高を増やして収益を上げてきた銀行にとっては、手痛いツケが回るかもしれない。そうした懸念は金融庁も抱いており、金融機関の経営状況をこれまで以上に注視する方針だ。

土砂降りのときにこそ傘を貸せ

――金融機関に対して、どのように「モニタリング」を行いますか。

7月に総合政策局長を拝任した際、金融庁・財務局の職員や大手行のトップにこう宣言した。「世界で最も信頼される金融当局になる。母国発の金融危機を起こさない、 世界で最も強力なモニタリング当局を目指す」と。海外の規制当局からも、金融庁がモニタリングしているのなら間違いないと信頼されることが重要だ。

金融庁のモニタリングは、監督局と総合政策局が一体で行っている。監督局は各金融機関のビジネスモデル全体を把握し、われわれ総合政策局はガバナンス(企業統治)や内部監査、信用・市場・流動性・サイバーセキュリティーのリスク管理、金融犯罪対策などを検証する、縦と横の関係だ。

銀行は「雨が降れば傘を取り上げる」と言われるが、土砂降りのときこそ傘を差し出す存在になるべきだ。そのために、日頃から財務の健全性と業務の適切性を確保しなければいけない。経営陣主導のもと、行内に健全なリスクカルチャーを醸成し、強固なリスク管理体制や内部監査体制を構築する必要がある。

――国内の金利が上昇しています。モニタリング方針に変化は?

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