「膀胱がん余命1年宣告」から開き直りがん共存記 尿が腎臓に逆流、まずは腎機能の回復を最優先

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病室の窓からのぞく景色(筆者撮影)
2024年春、ジャーナリストの山田稔(64)さんに膀胱がんが発覚、肺にも転移しており、ステージ4でした。医師が語る病状説明を淡々と受け入れ、がんとの共存の道を選択した山田さんは、抗がん剤治療を経て10月に膀胱の全摘出手術を受けました。本連載(今回が初回)では、がんと向き合う日々を記します。

好きだった酒が飲めなくなった

2024年春。明らかに身体に異変が起きていた。1月の会合を機に、酒がまったく飲めなくなった。ビールをグラス1杯飲んだだけで気持ち悪くなり、受け付けないのである。日本酒もダメ、ウイスキーもダメ、梅酒もダメだった。連日、夜中まで飲み歩いていた夕刊紙の記者時代が嘘のようだ。

2月中旬以降、頻尿が襲うようになった。最初は3時間に1回ほどだったのが、2時間に1回、1時間に1回という具合に深刻化。時折、血尿が混じる。

もはや耐えられないと、3月に入り居住地域の泌尿器専門のクリニックを訪れた。その時はまだ「前立腺肥大か、最悪の場合は前立腺がんか」といった思いで受診した。

問診から下半身のエコー検査に進み、「後で血液検査を行いましょう」という医師の声にも「前立腺」との思いは消えなかった。

ところが事態は一変した。しばらくして再び診察室に呼ばれた。そこで医師が口を開いた。

「膀胱に大きな物体が映っています。残念ながら腫瘍の可能性が高いですね。血液検査どころではありません。一刻も早く大病院で詳しい検査を受けてください」

「前立腺肥大」なんて甘い幻想はたちどころに消え去った。医師は3つの病院を示し、その中から選んでほしいと言う。自宅から一番近い大学病院を選んだ。医師はさっそく紹介状を書いてくれ、すぐに連絡して行くようにと念を押した。

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