ゴーガンとジョブズに共通する現実歪曲。熱狂をもたらす「内的必然性」とは?
ゴーガンは、安定した証券マンとしての生活を捨てアーティストとして生きることを選びました。経済恐慌と貧困、病、身内の死など次々と災難が襲いかかりますが、失意の中でも描くことをやめず、タヒチという「原始的な楽園」へ向かってその地で生み出された傑作が同作品です。「最後の作品」と位置づけ、生命のすべてを投じて描き上げました。
ゴーガンの絵に現れる“3つの内的必然性”
この絵には、3つの内的必然性がはっきりと現れています。
これら内的必然性の宿る彼の熱狂は、作品という形に昇華され、その過程で、「クロワゾニスム」を生み出します。クロワゾニスムとは、暗く太い輪郭線で画面の構成要素を区切り、その内部を大胆な平塗りで表現する彼独自の感覚です。単なる技法ではなく、ゴーガンの内的必然性から生まれた「表現の必然」とも言うべき「感覚」でした。
内的世界と原始的なタヒチの情景を融合させることで、写実を超えて、自らの精神性をより純度高く表現しようとした。より本質的な真実を探究した意味では、絵画の中で現実歪曲フィールドを表現し、観る者を巻き込んだと捉えることもできます。
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