裸の少女をミキサーで「おぞましいアート」の背景 漫画やアニメの世界でも不健康な主張が台頭

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1980年以降に「おぞましいアート」が増えた背景にあるものとは(写真:sergeyishkoff/PIXTA)
しばしば「意味不明」「わからない」とされる現代アート。しかし、そこには必ず社会状況の反映がある。むしろ、現代アートを見ることで、より深く時代や世界について考えるきっかけにもなる。そこで本稿では、1980年に入って「おぞましいアート」が増えてきた背景について『「わからない」人のための現代アート入門』より、抜粋して紹介する。

「おぞましいアート」が異様に存在を主張

ビフォー1980のアートは、どのようなものであれ明解で明晰でした。整合性が保たれていて一貫性がありました。ところがアフター1980になると、アートは怪しげで不明瞭なものになっていき、そして、どういうわけか、世界同時多発的にグロテスクな表現や子どもっぽい表現、意図的に幼稚な表現、残酷な表現が目立つようになります。

それらは「おぞましいアート(アブジェクトアート)」と呼ばれ、異様に存在を主張していきました。

おぞましいアートの代表格にはロバート・ゴーバーやマイク・ケリーらがいます。彼らの作品は、言葉を選ばなければ、ほとんど変態です。たとえば、ゴーバーの《無題》は、壁から唐突に人間の裸の下半身だけが生えている作品です。見る者は、何のことかまったくわからないままに、その“あり得ない状況”に不条理な感覚を覚えさせられます。

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