このような場合、無理に「ちゃんとしなさい!」「ダラダラしないの!」といきなり迫らないことがポイントです。話すエネルギーも残っていない状態かもしれません。ただし、いつまでも家でダラダラしているとやるべきことまでできないことになってしまいます。
そこで、ダラダラタイムとやるべきタイムを作っておくのがよいかと思います。子どもにもそれを伝えておきます。「◯時からやるのよ!」というのではなく、「◯時まではダラダラタイムね」という言い方です。この言い方を間違えると、子どもは◯時になっても次に移行しません。
子どもが「疲れた」「無理」と言うと、「そんなことでどうするの」と言いたくなる気持ちもあるでしょう。子どもがこのような言葉を使う場合、たいていは、内面的なモヤモヤをただ口にしただけで、ストレス解消として使っていることが多いです。ですから、基本的にはスルーします。子どものネガティブな言葉には巻き込まれないようにします。しかし、中には心の限界を知らせる“黄色信号”の場合もあります。
そのように感じたときは、「そっか、疲れたんだね」と子どもの感情をそのままフィードバックします。それだけで子どもは「わかってもらえた」と安心し、次に踏み出す力が湧いてくることもあります。それでも、子どもがまだ頻繁にこのような言葉を使い、しかも行動面に表れたら上記のQ&A2の対応をとります。
特に新学期は、親の見えないところで子どもは一生懸命頑張っています。親の受け止め方ひとつで、子どもの回復力は大きく変わってきます。
新学期に不安や疲れがある子どもほど、ゲームやスマホに没頭することがあります。これは「現実逃避」や「安心できる世界への避難」の一つと考えられます。昔は放課後、外で友達を遊んでストレスを解消していたのが、現代はゲームや動画視聴に代わったと思われます。
もちろん、ずっとゲームや動画視聴ばかりでは心配だと思います。でもそこで頭ごなしに叱ると、ますます親子の距離が広がり、やがて手がつけられない状態になりかねません。
ゲームや動画は、ルール決めが重要となります。もちろん、子どもがゲームや動画をいくらしていても親が全く心配なのであれば、特にルールを決める必要はないかもしれません。しかし、多くの親御さんはそのような心理状態にはありません。そこでルールを“子どもの意見を聞きながら一緒に”作っていくことをお勧めします。(詳細は過去の記事をご覧ください)
親が一方的に決めたルールや、ルールを子どもが守らないときに事前に決めたペナルティを親が実行しないなどすると、確実にルールは破綻してきます。そして一度ルールが破綻すると次にルールの決め直しすることは極めて難しくなります。(その際は、また別の方法で対応していきます)ということで新年度はルール決めが大切になります。すると親も子も気持ちよく新年度をスタートすることができます。
《親ができること3つ》【まとめ】
新学期は、子どもにとって“慣れるだけでも一苦労”な時期です。大人の目には些細に見えることでも、子どもにとっては大きな負担になっていることがあります。
子どもが出すSOSサインは、はっきりと「助けて」とは言わず、体の不調や言動の変化、無言という形で表れることもあります。また、雑談をしていると、子どものいつもとは異なる微妙な変化に気づくことができたりします。
親ができるのは、「変化に気づくこと」と「否定せず受け止めること」。そして、子どもが話したくなったときに安心して話せる関係性を、「雑談」を通じて日頃から育んでおくことです。
そして最後にもう一つ大切なメッセージがあります。それは、「親も頑張りすぎないようにしてくださいね」ということです。子どもだけでなく、親にとっても“新しい始まり”となるこの季節。どうか、親御さん自身も少しずつペースを整えながら、新年度を歩んでくださいね。

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