「毎日2時から23時まで労働」「毎年のように腰を外した」…。7年連続「食べログ百名店」に選出も、体を壊して閉店した店主の"意外な再出発"

✎ 1〜 ✎ 92 ✎ 93 ✎ 94 ✎ 95
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2025年2月20日「かいか」がオープン

かいか
「かいか」の外観(筆者撮影)

こうして東京・中野に「かいか」がオープンした。店長の金子政春さんは岡田さんの思いを継いで大変おいしいラーメンを作っている。早くも話題の新店として多くのラーメンファンが訪れる人気店になっている。

岡田さんも横でサポートをしながら、無化調、自家製麺という「もつけ」時代からのこだわりは変えずに、こだわりの一杯が完成した。

かいか
無化調、自家製麺という「もつけ」時代からのこだわりは変えずに完成したこだわりの一杯(筆者撮影)

「今まで個人でやっていた時代は1日150杯がマックスだったので、これからはもっとたくさんの人に食べてもらうためにはどうしたらいいか考えていきたいと思います。まずはこの店で味と接客を磨いて、地域の人たちから愛されることが大事だと思っています」(岡田さん)

個人店の事業承継については今後のラーメン業界の大きなテーマとなっている。「家業」という考え方が薄れてきたうえに、働き手も不足していて、うまく承継できたお店は多くない。その中で、どう自分の味を残していくかというのは大きな課題だ。

かいか
調理中のふたりの様子(筆者撮影)

「捉え方はその人それぞれだと思います。職人には固い人が多く、『俺の代で潰してもいいんだ』と思っている人が多いです。しかし、それだけではなく視野を広げてみてもいいのではと思います。

お店を続ける以外の選択肢が広がるのは大きな魅力です。いい腕があるなら他に生かしてほしい。そのまま閉店してしまうのは実にもったいないと思います」(岡田さん)

TOKYO RAMEN かいか
東京・中野にオープンした「かいか」。2024年5月に惜しまれつつ閉店した「もつけ」のこだわりを感じられる一杯を提供する(筆者撮影)

腕のある職人の一杯を後世にまで残す工夫。世襲制や修業以外の新たな選択肢を作っていくことがこれからの流れになるかもしれない。

この連載の一覧はこちら
井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。東洋経済オンラインアワード2024にて「ソーシャルインパクト賞」を受賞。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事