実は、この「足が遠のいている層」の再来店へのアプローチとなることも、「31 パティスリー」の狙いの1つだったそうだ。同社の調査によると、サーティワンは、幼少から学生時代に親しまれるが、そこから一度離れ、出産して復活する人が多いという。
「成長して自分で稼げるようになって、サーティワンではない選択肢も増えると一度離れる方が多いようです。しかし家族ができると、『家族や友達と一緒に食べるシーンの価値』を思い出し、戻ってくる女性が多いんです」
しかも幼少、学生時代にサーティワンに慣れ親しんだ人には、誰もがお気に入りの「あの味」があるそうだ。
おぼろげにでもそれを覚えている人が多く、インターネット上でフレーバー選挙を開催してみると、正式名称はわからなくとも、「粒々が入った、ザラッとした食感のチョコアイス」など、味やディテールが書き込まれるという。
だからこそ、ストロベリーチーズケーキとジャモカアーモンドファッジという、売れ筋のフレーバーをアイスケーキ開発の中心に据えたのだ。

遠のいているゲストにも思い出してもらうきっかけにして、「サーティワンを選択肢の1つにどうですか」とアプローチしたかったと橋本さん。食べてみて、「これは、あのとき食べたストロベリーチーズケーキの味……!」と、懐かしく感じてもらえるストーリーもあったらうれしいと目を細める。
この「ノスタルジー効果」とでも呼ぶべきものを、実は筆者は夫で確認した。隣で、「中学生の頃よく食べたストロベリーチーズケーキの味そのままやん。懐かしすぎる」と呟いていたのだ。
人間の味覚記憶は非常に強く、何十年経っても鮮明に思い出せるものがある。「あの味」を再体験することは、単なる商品提供以上の価値、いわば「時間を超える体験」を提供することになるのかもしれない。
コア商品のおいしさを「最大化」する開発

商品開発はどのように行われたのだろうか。
開発の一番のミッションは、「サーティワンの人気の高いフレーバーを最大化して届ける」ことだったそうだ。加えて、「世の中で支持されているケーキと同じくらい身近な存在になりたい」という想いもあった。
これらを起点に、アイスが一番おいしく感じられるスポンジ、クリーム、クランチなどを独自開発。酸味や甘み、食感をレイヤーにして、「新感覚スイーツ」を目指した。
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