2つ目は、「メリハリをつける生活を送るにはどうすればよいか」というテーマについて、家庭内で話をする場を設けることです。自分のことは自分で解決させる習慣をつけさせるようにするのです。ただし、このとき重要なことは、「叱る場」「怒る場」とならないようにすることです。目的はただひとつ、「どうすればメリハリがつけられるようになるか」だけです。そして、自分で決めさせ実行させるようにします。ただ、それでも実行しない場合もあります。そのときは、次の第3の方法を参考にしてください。
それは、「間接話法を使う」というものです。この方法は私がこれまで子どもたちを指導する際によく使ってきた手法で、生徒を自主的に行動させるための強烈なテクニックです。「間接話法」という名は私が勝手につけたのですが、この意味は、「行動を促したい生徒に直接的に話をするのではなく、間接的に聞かせることで行動へと駆り立てる方法のこと」をいいます。
要領がいい「次男次女」の法則を使うといい
家庭内でも兄弟姉妹がいる場合、どうしても親は上の子のだらしなさ(時に下の子がだらしないという場合もある)について叱ります。そうすると下の子はそれを見たり、聞いたりして、怒られる前にきちっとするという現象がよく起こります。だから下の子は要領がいいと言われますが、これは間接話法が的確に利いているためなのです。直接言われると「理屈で納得はするが、感情では納得できない」のが人間です。大人もそうですよね。また、言われたとおりにやっても、それは主体的ではなく、あくまでも「言われたからやった」という状態にすぎないのです。ですから、いつまでも自分からという自主性は身につかないのです。
昔の人はいい言葉を作りました。「人の振り見て我が振り直せ」。これは人の振りを視覚的に見た場合ですが、この古言もある意味、間接的手法でしょう。人の心理をよく読んでいますね。
では、私が実際に授業で行った場合の話をしましょう。たとえば生徒に数学の問題演習をやらせていて、私が教室を巡視しているときにある生徒(田中君)に対して言った言葉です。
面白い現象です。周囲にいた生徒たちは、自分の間違いを直接指摘されたわけではありませんが、近くにいる生徒が指摘されたことをよく聞いているのです。「壁に耳あり、障子に目あり」で集中して聞いていたがための現象なのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら