フランスの経済学者、トマ・ピケティ氏の『21世紀の資本』が指摘した格差の拡大。欧米ほどではないにしても、日本企業でも役員と社員(従業員)の収入格差は広がっている。東京商工リサーチによれば、国内の上場企業の2015年3月期決算で、1億円以上の報酬を受け取った役員は211社の計411人となり、前年より20社、計50人増えた。
東洋経済オンラインは、役員報酬の平均額と従業員の平均賃金の格差に注目してランキングをまとめた。倍率で表した「年収格差」は役員が従業員の何倍の年収を得ているかを示した。有価証券報告書(2014年5月期~2015年4月期)をもとに東洋経済が独自に算出した「平均役員報酬」を、単独従業員の平均年収で割って算出した。
1位は役員報酬が高い会社ランキングでも1位だったパチンコ・パチスロメーカーのSANKYO。役員平均報酬の5億8150万円は、従業員の平均賃金726万円に対し約80倍となっている。代表取締役会長の毒島秀行氏の報酬総額21億7600万円は、平均賃金の約300倍になる。
5位は群馬県に本社を構えるホームセンターのセキチュー。カー用品店の「オートウェイ」なども運営する。創業者で代表取締役会長を務めた故関口忠氏に退職慰労金を含む4億1828万円の役員報酬を支払ったことが大きい。4億1828万円は、従業員平均年収397万円の105倍にあたる。同社は報酬の後払い的な意味合いが強いとして、役員退職慰労金制度を2015年5月の株主総会で廃止した。
7位のオリックスは30名の平均で2億2590万円となった。この多くは、宮内義彦氏が功労金44億6900万円を含む54億7000万円の役員報酬を得たことによる。宮内氏の役員報酬は従業員平均年収の719倍になる。
カリスマ経営者が得る多額の報酬
ランキングの上位には取締役や執行役の人数が少なく、創業者などのカリスマ経営者が多額の報酬を得ている企業が目立つ。取締役、執行役の人数に注目すると、ランキング27位の三菱電機は28人の平均で1億2250万円となった。執行役全員の23人が1億円以上を得ていた。
アメリカではCEOの役員報酬と従業員の平均給与の給与格差が深刻となっている。米国証券取引委員会(SEC)は、上場企業を対象に2017年度から CEOの報酬と従業員の給与格差の開示を義務化する。日本でも、アメリカほどでないにせよ、着実に役員報酬と従業員給与の間に格差が広がってきている。
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