欧米の大企業ほどは高くないといわれる日本企業の役員報酬。個別企業ごとに見ていくと、実際のところはどうなのだろうか。東洋経済オンラインは、約3600社に上る上場企業の役員がどれぐらいの報酬を得ているのかを独自に調査。「役員平均年収」として試算し、上位500社のランキングを作成した。
上場企業の役員報酬については、「初公開!『役員報酬が多い』500社ランキング」(2015年1月30日配信)でも紹介したが、上場企業の約7割に上る2015年3月期の最新有価証券報告書のデータがまとまったことから、最新ランキングにまとめ直して紹介する。
「役員平均年収」は直近本決算の有価証券報告書(2014年5月期~2015年4月期)で開示されている、「社内取締役の報酬」または委員会設置会社で示されている「執行役報酬」の合計額を社内取締役と執行役の合計人数で割り、独自に算出した。
基本報酬のほか、株式報酬にあたるストック・オプションと、従業員でいうところの退職金にあたる退職慰労金も含めた合計金額を用いている。各社とも従業員の平均年収、平均年齢も併載した。
1位SANKYOは平均5億8150万円!
ランキング1位はパチンコ機製造大手のSANKYO。フィーバー台で成長し、開発力の定評のあるメーカーで、約85%の自己資本比率や有利子負債ゼロなど、堅牢な財務体質の企業として知られている。
SANKYOの役員平均年収は5億8150万円。代表取締役会長の毒島秀行氏が、16億1400万円の退職慰労金を含む21億7600万円の報酬を得ているために平均額が高くなった。代表取締役社長の筒井公久氏の報酬は、1億6800万円。同社は役員退職慰労金制度廃止を行っており、この期に役員退職慰労金の打ち切り支給を行なったために金額が膨らんだ。
2位はオンラインゲーム会社のネクソン。CMでもおなじみのゲームタイトル「メイプルストーリー」などが有名だ。8月31日に行う銘柄の入れ替えで、新しくJPX日経400の構成銘柄に採用される。平均役員報酬は2億8433万円。代表取締役社長のオーウェン・マホニー氏は、6億4700万円の報酬を得ていた。うち株式報酬にあたるストック・オプション部分が、4億1000万円となっている。
3位はファーストリテイリング。社内取締役は、代表取締役会長兼社長の柳井正氏のみで、報酬は2億4000万円。一方、前回調査で1位だったエイベックス・グループ・ホールディングスは4位に後退した。前回調査の2億4620万円から2億3640万円へやや減少。同社は業績連動部分の比率が大きく、連結純利益が59億円と、前期から減益になったのが響いたのだろう。
高額報酬として有名な、カルロス・ゴーン氏の報酬は昨年の9億9500万円から10億3500万円へ増加した。日産自動車の平均役員報酬額は1億6300万円で、ランキングでは14位だった。最新版の調査で1億円以上となった企業は、前回の23社から40社へとほぼ倍増。好調な企業業績を受けて役員報酬は増加傾向にある。
もちろん、経営者の手腕により業績が好調な企業もあるが、一般的な給与所得者に比べると伸びは大きく、世界的に指摘されている格差の広がりを象徴しているようでもある。
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