「34歳の転職」は自分の"市場価値"に要注意 Uターン転職で気をつけるべきこと

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長所を生かしたいということですが、仕事における長所とは井上さん個人が考える長所ではなく、周りからも認められうる長所である必要があります。だからこそ、そのための第一歩として、ご自身が考える長所を周りにアピールする手段が必要となる、というわけですね。

留学をしていたということですから、ベースとなる能力はあるのでしょう。後は業務でそれを使えるだけの能力がある、ということを何かしらの手段で証明することで、井上さんの仕事におけるアイデンティティのひとつに中国語というものが加わってくるはずです。したがって、採用においてもそのような中国語を使う業務を前提として話が進む土壌が形成されやすくなります。

職業人としての価値を分析すべし

次に気をつけるべきは、井上さんの職業人としての価値をご自身でどこにあると理解しており、また今後、どのように打ち立てていくかということを、きちんと考えるべしということです。これがわかれば、仕事選びをする際に優先すべき要素は何なのか、ということがクリアになります。

その結果として、中国語という切り口における優先順位が高く、ほかの要素はあまりないということであれば、仕事を探す幅は製造業以外にも当然、広がるでしょうし、中国語×製造業でいくのであれば、その中から選ぶ必要があります。

いずれにしても、中国語という切り口が本当に重要なのであれば、中国語を使って何をするかが本質的には問われますので、今後、どの分野で「中国語を活用できる人材」にとって活躍の場が広がるのかということを考えつつ、仕事を選ばれるとよいでしょう。

大事なことは、この先長い職業人生を送っていく中で、ご自身の軸となる経験やスキルをどこに打ち立てていくかをきちんと考えたうえで仕事を選ぶべし、ということです。そしてその際に語学という手段だけでは短期的には別として、長期的には食べていくのが難しくなりますので、プラスアルファが重要になるということをぜひ覚えておいてください。

加えて、先ほど申し上げたストレス解消の根本解決は何かを考える、ということが必要です。もしかしたら理想は今までやってきた製造業系で中国語を使える仕事なのかもしれませんが、理想とする仕事がつねに存在するわけでもありませんので、たとえば、現在、考えられている中国語を使う業務に就くことで、本当にストレス解消につながるか、そんなことを考え、その分野で今後ご自身の目指す職業上のアイデンティティと重なると最高なのでしょう。

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