そもそも、オニオングラタンスープはどの国の料理なのでしょうか。岡野さんによると、もともとはスープにパンを入れて食べる文化がある、イタリアやフランスの料理なのだとか。ロイヤルホストのオニオングラタンスープも、フランスで親しまれる「フレンチオニオンスープ」と呼ばれる料理が源流になっているそうです。
そんなオニオングラタンスープをロイヤルホストが提供し始めたのは、1号店のオープンから14年後、1985年のことでした。その後、一時は販売しない時期もありましたが、1987年からメニューに定着しています。
もともと、上述したようにロイヤル中洲本店でも提供したメニューですが、ロイヤルホストで始めたのが遅かったのには理由があります。それは、ロイヤル中洲本店では店舗で仕込んでいたこと。チェーン展開するファミレスで再現するのは難しかったのでしょう。
その後、セントラルキッチンで仕込んでも、店舗と遜色ないレベルで提供できるようになったことで、ロイヤルホストでも提供を始めました。
一晩かけてじっくり煮込む、澄んだスープへのこだわり
一般にセントラルキッチンといえば、効率性を追求するシステムに思えますが、オニオングラタンスープの仕込みにはかなり手がかかっており、岡野さんは「レストランの厨房で行うような工程を、セントラルキッチンで再現しています」と話します。
具体的には、炒めた玉ねぎを中心とした香味野菜や牛肉を煮込みながら、浮いた油などを人の手で丁寧に取り除き、一晩かけてじっくり煮込むとともに、卵白を入れるなどして独特の澄んだスープを仕込んでいます。
また、一般的にスープを大量生産する際には2トンタンクで作ることが多いそうですが、ロイヤルホストのオニオングラタンスープは、その半分以下の容量の釜を使っています。あえて少量で手間をかけて仕込む理由について、岡野さんは次のように話します。
「もっと簡単に大量に作ることもできるのですが、そうするとスープが濁ってしまうんです。オニオングラタンスープは上にバゲットがのっているので、気にならないという意見もありますが、そこは実直に、信念を持って取り組んでいます」
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