「重労働ありがとう」挨拶が示す"休めない国"日本 「休み方」研究20年の医学博士が鳴らす警鐘

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「休養学」の提唱者・片野氏によれば、日本人の約8割が疲れている(写真:8x10/PIXTA)
突然ですが、あなたは今、疲れていませんか?
医学博士で日本リカバリー協会代表理事である片野秀樹氏によれば、疲労は熱や痛みと同じ、体からの警告です。
片野氏がこのほど上梓した『休養学:あなたを疲れから救う』では、軽視されがちな「疲労」と「休息」について科学的な解説を加え、
「人はなぜ疲れるのか?」
「疲れても無理をして休まずにいると、人間の体はどうなるのか?」
「どんな休み方をすれば最も効果的に疲れがとれるのか?」
といった疑問に答えていきます。
日本のビジネスパーソンはどうして長時間労働を強いられるのか。
本書から抜粋・編集してお届けします。

いまだに「休まないのが美徳」とされている

ある年代より上の人は、「日本人は働きすぎだ」とか「働きバチだ」とさかんにいわれた時代があったことを覚えているでしょう。

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しかし、現在の日本の勤務時間の長さや休日の日数などを諸外国と比較すると、実はそれほど働きすぎというわけではありません。

とはいっても、勤勉な国民性であり、休むことを罪悪と捉える傾向があるのはたしかです。

たとえば職場では、「おはよう」「こんにちは」というあいさつの代わりに「お疲れさま」と声を掛け合いますね。

グーグル翻訳で「お疲れさま」を英語に翻訳してみると、「Thank you for your hard work.」と出ます。直訳すると、重労働をしてくれてありがとう、というような意味です。

こんなあいさつが日常的に交わされているのは、疲れているのが当たり前という共通認識があるからなのではないでしょうか。

次ページ「お疲れさま」とねぎらわれてしまうと…
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