原動力は「選手強化」大規模アイスショーの舞台裏 フィギュアブームが追い風、「羽生結弦」の存在感
経営安定のために必要だった“看板商品”
前編でも触れたとおり、「ファンタジー・オン・アイス」は、珍しい制作体制を取っている。イベント企画・制作を専門とするCICが一気通貫にショーを作り上げ、運営しているのだ。共同主催、後援、開催地の企業を中心とする協賛企業など関係先は多いが、ショーの中身に関しては多くのことがCIC一社で完結するため、小回りがきき、制作上の自由度が高くなる。そして、外注費用も抑えられる。
CICは、なぜこうした運営スタイルをとるようになったのか。
同社の真壁喜久夫社長は、日本のアイスショー文化の立役者の一人として知られる人物だ。2001年、勤務していたイベント制作会社からフィギュアスケートを含むイベント部門を独立させる形でCICを設立。同年、フィギュアスケーターの中でも当時とくに人気のあったフランスのフィリップ・キャンデロロさんを招いて開催したのが、「フィリップ・キャンデロロ ジャパンツアー2001」だった。
「私たちは当初、受注仕事で売り上げを立てる制作会社でした。でも、経営を安定させていくには、よそから受注した仕事だけでなく、“自社商品”を持たなければいけない。そこで、私自身の得意分野、フィギュアスケートでイベント主催事業を確立しようと考えたんです」(真壁社長)
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