疲れていればパフォーマンスが出ないことはみんなわかっています。それでも自分だけ勝手に休むわけにはいかない。だから出社はするけれど、能率が全然上がらない。いったん出社すれば、上司が帰らないと自分も帰れない。「遅くまで会社に残っていると熱心だ」「早く帰るやつは仕事をしていない」といわれる……。
こうした〝疲れているのが当たり前の社会〞〝疲れたら休むという当たり前のことができない社会〞はやはりおかしいのではないでしょうか。
「休んだときはお互いさま」の精神で
ドイツでは、「連邦休暇法」という法律があり、従業員に年間24日以上の休暇を与えないと雇用者が罰せられてしまいます。
聞いた話によれば、このようになったのは宗教上の理由もあるようです。
キリスト教の考えでは、働くことは美徳ではなく「罰」。「苦役としてやらされている」という発想ですから、一緒に働いていても、「早く帰りたい、会社には可能なかぎりいたくない」という人ばかりでした。
日本人の感覚からすると、「そんなに帰りたくてソワソワしていたら、仕事に身が入らないのでは?」と思ってしまいますが、実際は逆です。
限られた時間内に、いかに集中して効率よく仕事をするか、休みをとるために、がんばって仕事を片づけよう……と知恵をしぼります。
だから生産性が高いのです。
その点、日本人は長時間、文句をいわずに働くので「働き者」だというイメージがありますが、実際は1時間あたりの生産性が上がりません。非効率な仕事をしているときもあるような気がします。
ドイツの人たちは、休みの前になると、
「私は週末、ここに行ってこういうふうに過ごすんだ」
とうれしそうに語るし、休み明けには本当に元気でリフレッシュしていて、
「こんなふうに楽しく遊んだよ」
という話で盛り上がります。
もちろん、誰かが長期休暇をとると仕事に穴があきます。ただ、取引先も「担当者が休みだったら仕方がない、じゃあ待つか」とあきらめてくれます。
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