「重労働ありがとう」挨拶が示す"休めない国"日本 「休み方」研究20年の医学博士が鳴らす警鐘

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここにはわれわれ日本人の、「粉骨砕身して働くことが当然である」という意識のあり方があらわれているように思います。休まずに出勤することが、いまだに美徳とされているのです。

「働かざる者、食うべからず」ということわざがあるのもうなずけます。

一方、英語のあいさつは「Hi, how are you?」です。

こんなふうに聞いてくれれば、元気なら「Fine.」、そうでないなら「Not good.」と答えることができるでしょう。

もっとも、「それほど親しくない間柄では、あまり調子がよくなくてもfineと返すのが一般的なのだ」という説もありますが、とにかく体調を尋ねられれば、調子がいいときはいい、悪いときは悪いといいやすいことはたしかです。

ところが先にお疲れさまとねぎらわれてしまうと、調子が悪いとはなかなかいいだせなくなってしまいます。

「疲れているので休みます」といえない

このような日本の職場で、本当に「疲れた」ときにちゃんと休むことはできるのでしょうか。

ここで1つ質問です。あなたは疲れたことを理由に、仕事を休んだことがありますか?

朝起きたら何だか疲れている。体も重だるい。そんなとき会社に連絡して、

「今日は疲れているので、休ませてください」

とお願いしたことがある人はどれだけいるでしょうか。

「そんなことをいったら、『冗談はよせ』と一蹴されるに決まっている」

「『君だけじゃない、みんな疲れているんだ。さっさと会社に来い』と返されるのが関の山です」

という皆さんの答えが聞こえてくるようです。 

それどころか、有給休暇さえ、上司がイヤな顔をするので申請しづらいというのが現実かもしれません。

何しろ日本は、学校を1日も休まなかった人を表彰する「皆勤賞」まであり、毎日休まず会社や学校に行くこと自体に価値をおく社会です。まだまだ多くの人が、休むことイコールなまけること、さぼることだと捉え、休むことに罪悪感を抱いています。

次ページ「疲れたら休む」のは当たり前のこと
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事