「重労働ありがとう」挨拶が示す"休めない国"日本 「休み方」研究20年の医学博士が鳴らす警鐘

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リモートワークでは、社員が「今日は△時間勤務しました」と申告しても、それが本当かどうか確認さえできませんからね。仕事をした時間の長さではなく、仕事の質や量を重視する時代に、一歩ずつですが進み始めています。

日本の職場も変わり始めた

経営者の間でも、

「仕事をした時間の長さではなく、仕事の質や量を重視する」

「同じ目標を達成するのだったら短い時間で達成したほうが優秀だ」

「限られた時間の中で、いかに効率を高めるかが大事だ」

という考え方が少しずつ浸透し始めています。

私が若いころは、上司からの指示には、どこかあいまいなところがありました。たとえば締切りには触れず「がんばって」とだけいわれる。別に急かされているわけではないのに、部下は「とにかく早く仕上げたほうがいいのだろう」と、その日のうちに終わらせようと無理をする。とにかくハードワークが当然、という空気があったのです。

もし上司が「この仕事は今週中でいいよ」といえば、部下は自分なりに仕事の計画を立てられますから、残業せずに済みます。

つまり、上司が部下に仕事の期限や期待するレベル、つまり遅くてもていねいなほうがいいのか、多少大ざっぱでも早いほうがいいかなどを明確に示していれば、部下は自分の裁量で仕事の進め方を判断できるのです。

最近は、明確な指示が心がけられてきているようです。仕事の進め方をKPI(重要業績評価指標)で判断する会社も増えています。そうなると、「今期の目標はすでに達成したから、もう残業してまでがんばらなくていい」などとわかります。日本の職場もこんなふうに少しずつ変わってきていると思います。

片野 秀樹 博士(医学)、日本リカバリー協会代表理事

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かたの ひでき / Hideki Katano

東海大学大学院医学研究科、東海大学健康科学部研究員、東海大学医学部研究員、日本体育大学体育学部研究員、特定国立研究開発法人理化学研究所客員研究員を経て、現在は一般財団法人博慈会老人病研究所客員研究員、一般社団法人日本未病総合研究所未病公認講師(休養学)も務める。日本リカバリー協会では、休養に関する社会の不理解解消やリテラシー向上を目指して啓発活動に取り組んでいる。編著書に『休養学基礎:疲労を防ぐ!健康指導に活かす』(共編著、メディカ出版)。

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