「作っても読まれない」分厚い社史が…老舗ワックスメーカー《リンレイ》が、社史をミュージカルにした結果

急速な時代の変化の中で、企業の理念をいかに継承していくか。その方法のひとつに「社史」がある。
「社史」とは会社の歴史の記録であり、周知することで社員のエンゲージメントや企業のブランド価値を高めることにも効果があるとされる。
これまで社史といえば本という形態が一般的であった。ところが、近年、本を読まない人、あるいは読む時間のない人が増えている。社史を書籍にまとめても読まれない現代に社史を残す方法を、株式会社リンレイは模索した。
分厚い冊子を作っても本棚に直行してしまう
リンレイはワックスやコーティング、洗剤のメーカーであると同時に、オフィスビルやコンビニ、ホテル、空港、球場などの清掃やメンテナンス事業でも業界大手だ。
創業は終戦前の昭和19年。戦後、日本をキレイにしようという気運に乗って事業を拡大していった。戦後、高度成長期、バブル期、失われた30年、コロナ禍……と激動の日本と並走した会社の歴史を、80周年にあたる2025年にどうやって残すか。
そこで思い浮かんだのは、演劇だった。社員のみならず、一般の観客にも演劇で社史を見せる。まさに競合他社の中における自社のブランディングとしても有効であろう。
演劇とのコラボレーションを考案したリンレイの常務取締役マーケティング本部長の加藤久幸さんと、依頼を受けて具体化した劇団ラッパ屋主宰で作家にして演出家の鈴木聡さんに社史演劇の経緯と可能性を聞いた。
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