「作っても読まれない」分厚い社史が…老舗ワックスメーカー《リンレイ》が、社史をミュージカルにした結果

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「ビルや施設のメンテナンス事業で知られるリンレイさんですが、家庭用の商品の製造販売も創業当時からの事業のひとつ。コロナ禍を経て、リンレイさんの製品が売れているそうです。それは時代を象徴しているなと思いました。家の中の清潔さや快適性というものが今まで以上に重要になってきたということです。リモートワークも一般化され、家庭の滞在時間もコロナ前と後で比べたら、長くなっているでしょう。

『私の青空』には『狭いながらも楽しい我が家』という歌詞があり、家庭に回帰する象徴的な歌だと思います。芝居の中では、戦争が終わって家族がまたひとつになって、焼け跡からまたやり直そうという思いを描いていますが、それは現代のコロナ禍後の家の姿と重なっているようにも僕は思うんです」

長い社史を社員1人ひとりが読んで読了を挫折するよりも、社員がひとつの場に集い、同じものを見て、笑ったり感動したり、歌で気分を高揚したり。確かにこのほうが企業のあり方が浸透しそうである。

「『パーパス』を考えるうえで演劇が役立つと考えています」

加藤さんはそう確信している。

あえて“ガチ史実”にしなかった理由

本社のそばの劇場、銀座・博品館で演劇を上演。そこに全国から社員が集まって観劇。その後、ホテルに移動して創業パーティーを行う。

「80周年を迎え、これから100年起業を目指そう。そのためには自分たちはどうありたいか。20年後の100周年ではどうありたいか。パーティーでそれを発表します。その前に、社長のアイデアで、演劇のダイジェスト版を流すことにしました。これからのことを語るには、これまでどうだったかを知ることが大事であろうということです」(加藤さん)

「パーティーで、いま見た演劇が話の種になるといいですよね。あんなこと初めて知った、というようなことを語り合っていただければ」(鈴木さん)

「中途採用の社員の理解の推進にもなりますし、社員とお得意様とのつながりを強めるという意味でもいいかもしれません」(加藤さん)

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