5年に1度行われる公的年金の財政検証の結果が今年7月ごろに公表され、将来世代の給付水準の見通しや制度改革案の試算が示される。検証の基となる最新の人口推計や経済前提を見る限り、将来の給付水準は前回検証結果とさほど変わらないだろう。ただ今後は、もっと複眼的な視点で給付水準を考えていく必要もある。
給付水準の推計では、男性の平均収入を得る夫と、専業主婦である妻とで構成される世帯が標準とされ、この世帯の所得代替率(現役世代の手取り収入額に対する年金額の割合)が今後5年間に5割を下回るか否かが毎回、大きく報道されてきた。政府は最低5割維持を掲げており、仮にそれを下回る場合は、政府は年金制度全体の仕切り直しを迫られるからだ。
世帯の形や働き方の変化
先述のように今回の検証結果でも今後5年間に5割を割る可能性は皆無だ。ただ将来世代の所得代替率見通しが、例えば前回の52%から51%に低下すれば、メディアは「将来世代の給付は一段と低下」と報じるだろう。あるいは52%を維持したとしても「依然として低水準」という評価になりそうだ。
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