「おめでとうございます。合格です……繰り返します。おめでとうございます。合格です」
すっかり力が抜けた彼は、「やっと終わった……」というため息とともに安堵し、機械音声をこの日だけで20回以上聞いて合格の余韻に浸りました。
こうして彼は、「呪い」に苦しんだ5年間から解放されました。
世界中の人を楽しませるゲームクリエイターに
4浪の受験生活を終えた栗山さん。浪人してよかったことを聞くと、「心の容量が大きくなった」、頑張れた理由については「夢への階段を一段一段上がっていたから」と答えてくださいました。
「浪人の期間に暗記だけではなくて深い思索ができたことも、人間としての深みや人生観の厚みにつながったと思います。多浪はマイナスイメージが強調されますが、そこには『自分で浪人を決めた』という強い『意思』があります。自分で決意して、立ち直って挑戦をするという意思は、とても尊いことだと思います」
大学に入ってから現在までの栗山さんは、早稲田大学内の行事で八面六臂の活躍をし、「斎藤佑樹の次に早稲田で有名だったと思う(笑)」と語るほどの存在感を発揮していました。
その後は、大手のゲーム会社に就職し、絵の才能も生かしてゲームのアートディレクターなどを経て、現在はGoogle Play、App Storeなどで日本・世界ともに複数のアプリで1位を獲得するゲームのメインプランナー・ディレクターとして活躍しています。
自分の考えた遊びで人を楽しませていたやんちゃな少年は、浪人を経て大人になり、世界中の人を楽しませるゲームクリエイターになっていました。
「僕が就職するとき、5つ下のいとこと一緒に就職しました。その際に親戚一同で就職祝いをしてもらい、色紙をもらったのですが、そこで父親が書いていた一言が『好きなことをやれ』だったんです。僕はそれを見て、素直に自分の父をすごい人だと思ったんです。4浪もさせてもらって、あれだけ僕の意思を尊重してくれたのにそう言い切れる度量に感動しました。だから自分も、父のような人間になりたいと思っています」
自分の意思を貫いて夢を叶え、周囲の人々の支えを実感した栗山さん。彼はこれからも父親のように、他者の気持ちを尊重し、楽しませ、大切にするよき兄貴分で居続けるのだろうと思いました。
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