「早稲田大24連敗」挑み続けた彼が世界で掴んだ夢 美大から進路変更、早稲田にこだわった理由

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この年の栗山さんは、自分に合う授業を吟味して選択し、1年間ずっといちばん前の席で受講し続け、復習も徹底しました。「モチベーションは自分で上げる」ことも意識して勉強を続けた結果、ついに偏差値は70を超えるようになります。

「4年で18だった偏差値が4倍になりました(笑)。この年はもう結果もついてきてるから絶対受かると思っていました」

こうして、現役時から5回目の挑戦となる早稲田大学受験の時期がやってきました。

政治経済学部・法学部・商学部・社会科学部・人間科学部・教育学部・文学部の7つに出願した栗山さんは、自信を持って受験に臨みます。しかし、試験の後半は精神面を削られながら臨んでいたそうです。

「先に受けた学部の合格発表が、後で受ける学部の試験日と被っていくんです。政経・法・商・社学……とどんどん落ちて絶望していったのは覚えていて……僕は受からない運命なのかな、このままだったら(人生)どうしようかなって思っていました。そう考えているうちに、最後の文学部の合格発表を迎えたんです」

5回目の挑戦、合格発表の日

当時の早稲田大学の合格発表は、「電話応答システム」で行われていて、早稲田大学入試合否案内センターの番号に電話をかけて、受験番号を入力したら合格・不合格の機械音声が流れる仕組みでした。「まったく実感がないまま、最後の合格発表である朝10時を迎えた」という運命の日を、彼は臨場感たっぷりに語ります。

「こちらは早稲田大学入試合否案内センターです」

「あなたが受験した学部学科専攻専修コード4桁と、受験番号5桁を、続けてダイヤルしてください」

「文学部 受験番号●●●●ですね。正しければ、暗証番号4桁を、訂正するときは、5をダイヤルしてください」

5年間聞き続けたこの音声。いつもなら、学部と受験番号の正誤確認が終わって暗証番号を押したあと、「残念ながら不合格です」という言葉が流れました。最後の合格発表に至るまでに栗山さんは、この屈辱的な音声を5年間で計24回、聞いていました。

「今回もまた、その音声が流れてくる」

そう思っていた彼は、現実を受け止める覚悟をしながら耳元に意識を集中しました。受験番号確認の音声が流れる。暗証番号を押す。永遠にも思える2秒の静寂。そして彼は、25回目にして初めての音声を聞きます。

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