〈現地取材〉秋田県「洋上風力の街」の期待冷めやらぬも、一部は「三菱商事ショック」に不安隠さず
秋田県沖の洋上風力発電プロジェクトが事業性の見直しを迫られている。秋田県現地の関係者の受け止めを探った。

秋田県の内陸北部にある大館市の郊外。3万5437平方メートルの敷地に「東光鉄工」の本宮工場がある。1938年創業の東光鉄工は高度な溶接技術を持ち、鉄管やタンクなど鋼構造物の設計、製造を主力とする県内でも知られた老舗企業だ。
本宮工場内には、国の補助金を含め8億5000万円をかけて「ダビットクレーン」を製造するための第二工場が今年1月23日に竣工した。
洋上風力発電設備で、海底に打ち込まれた基礎杭と風車タワーをつなぐトランジションピース(TP、風車塔の黄色の部分)という部分がある。このTPの上部には資材を船から引き上げるための小型クレーンが必ず設置される。これがダビットクレーンだ。
「秋田県沖では大規模な洋上風力プロジェクトが始まる。秋田の企業として国産のダビットクレーンをつくって、地域産業にも貢献したいと考えた」。東光鉄工の菅原訪順社長はそう力を込める。

「促進区域」10海域中4海域が秋田
国は洋上風力発電を重点的に整備する「促進区域」として国内10の一般海域を指定。海域ごとに公募を実施している。落札した発電事業者はその海域を最大30年間占有できる。日本海から強い風が吹く秋田県は全国で最も多い4海域が指定された。
一方、秋田港・能代港ではすでに33基の風車が回っている。秋田県が公募した港湾区域でのプロジェクトで、総合商社の丸紅が中心になって開設、洋上風力として全国で初めて商用運転を始めた。1キロワット時36円で東北電力ネットワークに売電している。
東光鉄工はこのプロジェクトで、TPを港に保管しておくための架台の製造を請け負っていた。その際、海外製のダビットクレーンをTPに取り付ける工事の依頼があり、それをきっかけに「秋田産」のダビットクレーンの製造を目指すことになった。
県内では男鹿市・潟上市・秋田市沖でのプロジェクトが4月に着工を迎え、送電ケーブルを地中に通すための管路埋設工事が始まる。運転開始は2028年6月を目指す。同プロジェクトは先述した公募の「第2ラウンド」で東京電力と中部電力の合弁である国内発電大手のJERAなどが落札した。
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