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洋上風力「国産化」と「コスト競争」は両立できない 丸紅洋上風力開発・真鍋社長に聞く最前線

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価格を大きく下げる方向と、洋上風力を輸出産業にしたいという経産省の両方の狙いを追いかけると「二兎を追う者」になってしまう。

秋田港では13基の風車が運転中だ(写真:秋田洋上風力発電株式会社)

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国内初の大型案件となる秋田県秋田港・能代港の洋上風力発電プロジェクトが全面運転開始してから8カ月が経った。港湾エリアに洋上風力発電機を設置し、20年にわたって固定価格買い取り制度(FIT)に基づき売電するというものだ。
出力は約14万キロワット。総事業費1000億円という巨大プロジェクトはどのようにして進められたのか。洋上風力の産業拡大に向けた課題は何か。同プロジェクトの参画企業の1つ、丸紅グループで世界中の洋上風力発電プロジェクトを手がける丸紅洋上風力開発の真鍋寿史社長に話を聞いた。

われわれの船は間一髪のタイミングで逃れた

――新型コロナウイルスの感染拡大の中でのプロジェクトでした。影響はありましたか。

2020年2月にファイナンスに関する最終合意を締結した。ちょうど中国でコロナがはやり始めたころだ。最初の緊急事態宣言が4月に出ているため、クローズの時期が数カ月遅れていたらファイナンスの条件も変わっていただろう。

このプロジェクトでは、豊富なノウハウを有する海外技術者に参画してもらっていたが、水際対策など当時の規制が障壁になった。

――部材の調達について問題はありませんでしたか。

輸送面の影響はほとんどなかった。このプロジェクトで使用した部品のうち海外製は8割ほどだが、輸送する船の運航自体が止まっていたわけではない。だが、2021年3月にはスエズ運河で座礁事故が発生した。

次ページ用船料は1日当たり数千万円かかる
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