岐路に立っているのは洋上風力だけではない。日本には、平地で風況がいい土地はほとんど残されておらず、山を削って大型風力発電所を建設する計画が増えている。陸上風力の開発と自然環境の保護は両立できるのか。
国内最大規模の陸上風力発電プロジェクトだった「(仮称)みちのく風力発電事業」が、10月に計画の取りやめを決めた。発表したのは、豊田通商の完全子会社で風力発電の最大手、ユーラスエナジーホールディングスだ。
みちのく事業が計画されていたのは、青森県の中央部を走る八甲田連峰周辺。当初の規模は1万7300ヘクタールで、最大150基の風車(最大出力60万キロワット)が尾根沿いに立ち並ぶというものだ。青森県青森市、平内町、野辺地町、東北町、七戸町、十和田市の6自治体に及び、国立公園も含まれている。
2021年9月、ユーラスエナジーが環境アセスメントの手続きの1つである「計画段階環境配慮書(以下、配慮書)」を公開したことで計画の全容が明らかになり、地元住民などから反対の声が噴出。ただ、ユーラス側は事業の縮小案を示すなど譲歩することで計画続行の道を探っていた(「青森県『最大級の陸上風力』で地元から怒りの声」参照)。
それがなぜ、ここに来て取りやめとなったのか。ユーラスエナジーで陸上風力発電事業を担当する代表取締役副社長の秋吉優氏が、東洋経済のインタビューに応じた。
事業を前に進めていくことは極めて難しい
ーー地元などから反対の声が上がる中で、みちのく事業を実現する道を模索してきました。それが一転、撤退に。何があったのですか。
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