岩手県が絶滅危惧種イヌワシの生息地を公開の訳 巨大風車群の建設ラッシュ対策で練りだした秘策

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イヌワシの成鳥(写真提供:2022年7月に岐阜県内で今井仁氏が撮影)

巨大風車群の建設ラッシュに見舞われている岩手県が秘策を繰り出した。3月27日、絶滅危惧種のイヌワシが生息するエリアをレッドゾーンとして示した1キロ四方のメッシュ地図を公表した。「環境と共生した陸上風力発電事業の導入促進」をうたう。

その心は「このエリアでの風車建設を回避して」。通常、希少動物の詳細な生息情報は非公開にするが、あえて生息エリア公開に踏み切った。全国初の試みは、果たして吉と出るか、凶と出るか。

レッドゾーンとイエローゾーンの意味

岩手県の秘策の正式名称は、「陸上風力発電所の立地選定に関する基準」。県内全域をレッドゾーン、イエローゾーン、グレーゾーンに区分し、1キロ四方のメッシュ図で明示した。レッドゾーンは「原則として立地を避けるべき区域」で、営巣地はわからないようにしてあるが、草原や牧草地などの餌場やよく飛来する場所も含まれ、生息圏をギリギリ守れるように設定されている。事業者に対し、レッドゾーンへの風車建設を避けるよう求める。

また、イエローゾーンは「立地による影響を低減すべき区域」で、もしもイエローゾーンに風車を建てる場合は、環境アセスメントをしっかり行うことにより、影響を軽減するように求める。グレーゾーンは、その他の区域で、「立地による影響を確認し、風力発電との両立を図るべき区域」だ。

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