
テックコーポレーションが入居していたビル。入り口は段ボールで覆われていた
コロナ禍の支援策によって落ち着いていた企業倒産が昨年、11年ぶりに1万件を突破した。ゼロゼロ融資の返済や物価高、金利上昇など、企業への逆風は強まるばかり。本特集では倒産の現実を詳細に分析、「倒産危険度ランキング」もお届けする。
2024年7月19日、広島地方裁判所で開かれた債権者集会は荒れに荒れた。債権者は北海道から沖縄まで400人を超え、約10社が連鎖倒産に追い込まれるなど大きな倒産劇だったからだ。
しかもその取引実態が不透明で債権者たちは困惑。破産管財人による説明の後に行われた質疑応答は1時間余りに及び、大きな声で社長に意見を求める場面も見られたという。
この会社は1976年創業のテックコーポレーション(以下テック社)。水道水を除菌に効果のある水に変えるとする装置や、微細な泡であるファインバブルを発生させる装置などを製造・販売していた。時流に乗った商品展開と、全国に拡大した販売代理店網によって成長を遂げ、売上高は200億円近くにまで達していた。
肥大化を続けた割引手形
売上高が拡大を続ける中で、もう1つ肥大化を続けた勘定科目がある。割引手形だ。東京商工リサーチの調べによれば、16年7月期に33億円だったのが、22年7月期には74億円、23年7月期には72億円と高止まりが続いていた。
というのもテック社は、次のような流れでビジネスを行っていたからだ。
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