「流動性知能」とは、新しい情報を獲得し、それをスピーディーに処理、加工、操作する知能を指します。
計算力、抽象的な思考力、IQ(知能指数)などが当てはまります。いわゆる受験テクニックに反映されるような知能のことです。25歳頃にピークとなり、65歳前後で低下が見られます。
情報の蓄積量の多さが有利に働く
一方「結晶性知能」とは、経験や学習などから獲得していく知能を言います。
言語力に強く依存するもので、知恵、洞察力、理解力、表現力、批判力、応用力、創造力などが当てはまります。経験や学習によって20歳以降も上昇をつづけ、高齢になっても安定しています。
両者の違いを、「計算」を例にして説明してみましょう。
若い学生と高齢者が、足し算や引き算などの単純な計算問題を解く〝速さ〟を競った場合。深い知識や理解は不要であるため、若い人がおそらく勝つでしょう。
一方、経理の計算で勝負をするとどうでしょう。
学生も高齢者も、経理の作業は未経験だとします。
資料を渡され「利益を計算しなさい」と言われたら。
高齢者は、それまでの社会経験などを活かして、何とか取り組むことができるはずです。しかし社会経験のない学生は知識がないため、混乱することが予想されます。
つまり、反射神経を必要とするような計算問題を解くのは流動性知能の範疇、経理作業のような経験も求められる作業は結晶性知能の範疇なのです。
「年齢を重ねるほどメリットがある」とお伝えした理由がおわかりでしょうか。
私が6回目の「記憶力日本一」を獲得したのは、すでに51歳のとき。2位は大学4年生、つまり22歳の青年でした。22歳に51歳が勝てた理由は、結晶性知能の差であることに間違いありません。
その理由について、より深く考えてみましょう。
記憶のコツとは、抽象化です。抽象化とは、新しい知識と、脳内にある既存の知識を組み合わせて再編集し、新しい考え方を生み出すことです。
「このシチュエーションは、既に経験した」
「この語呂合わせには、あのネタが使える!」
つまり、既知の情報に、新たな情報を紐付けていく作業が求められるため、頭の中に蓄積された情報や語彙が多いほうが有利だったというわけです。
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