かつてオリジンには、「キャン×キャン」「スリムクラブ」「ハンジロウ」「三日月マンハッタン」といった芸人が在籍していた。
前代表の真栄平房修(現会長)は「1年間ライブで人気投票1位を獲りつづけ、テレビでレギュラーをとる」という条件をクリアすれば、東京進出を許可する方針だった。
所属したての首里のすけはその条件を聞いて「余裕ですね」と平然と答えながらも、気づくと11年もの月日が流れてしまった。
「『キャン×キャン』さんは、その条件を在籍してから3年でクリアしたんです。しかし、沖縄で売れて東京に進出しても、吉本と違って東京事務所があるわけでもなく、まったくの受け皿がない状態。だから、東京に行くにはオリジンを辞めて他の事務所に入るしか手立てがないんです」
そのため、2010年のM-1グランプリで準優勝し、独特な「間」と「訛り」で全国に衝撃を与えた「スリムクラブ」も、もともとはオリジン所属だったが、東京進出を機に吉本興業に所属したのだ。
「吉本興業の本社は大阪ですが、東京進出を機に全国各地に劇場を確保していくなど、さまざまなコンテンツが充実しています。オリジンは内地(本土)へのコンテンツがないため、僕が代表として一からつくっていかなくてはならない。だから、『東京進出』なんです」
いまや、当代随一の大手芸能事務所となった吉本興業の最大のコンテンツは、なんといっても、全国各地に劇場を持っていること。
芸人にとってかなり大きい要素だ。
「沖縄の芸人だから」と最初から諦めては何もできない
首里のすけは、並々ならぬ決意で話す。
「沖縄の芸人は、ギャラの問題もあるけれど、『東京のテレビに出たい』という思いがあり、王道の売れ方をしたい。いうなれば『夢』の問題です」
「夢を語れば、人生が輝く」と言わんばかりに、首里のすけは「夢」という言葉を誇張した。沖縄に限らず、地方にいる芸人にとってデメリットは、用意されているパイが格段に少ないことだ。
そのパイをとりにいくには、自らのバリューを高めるしかない。
どんなに難しいメソッドでも、存在する限り「最初から諦めていては何もできやしない」と首里のすけは言いたいのである。
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