最も孤独なのは「30代未婚者」1億総孤独の真相 「頼る相手がいない」人が誰もが陥る無縁地獄

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「実は将来子どもをつくるために、精子凍結をやっておこうかと本気で考えているんです」

そう打ち明けるのは、都内の大学で准教授として教鞭を執る健二さん(41歳、仮名)だ。健二さんは28歳のときに大学の同級生と結婚したが、1年ほどで離婚。家の購入をめぐり、金銭感覚が合わなかったことが原因だった。

離婚後、30代に入ると将来への漠然とした不安を感じ、マッチングアプリで婚活を続けている。

独りで逝くのが怖い

「自分は結婚して家を買って、子どもを育ててというメインストリームから完全に外れてしまったという不安があるんです」(健二さん)子どもを望む理由は、「死ぬときに子どもがいないと看取ってもらえず、独りで逝くのが怖い」という恐怖もある。

「40歳になったとき自分の祭壇が見えてきた。この先独りの暮らしを10年、20年続けても、ある程度先が見えてしまう。自分の顔だけを鏡で見て暮らしている感じがしんどい」(同)。

健二さんは「メインストリームから外れた」と嘆くが、独身は今や珍しいものではまったくない。未婚率は上昇し続け、20年の50歳時未婚率は、男性28.25%、女性17.81%と過去最高に達した。

ただ、結婚して家族があっても孤立するリスクはある。

2022年9月下旬のある昼下がりのことだ。東京都世田谷区の住宅街の一角で、母親と小学生2人の子どもが大きな荷物を抱え、駅に向かっていた。“昼逃げ”だ。

母親の巴山(ともやま)ひろみさん(47歳)は、外資系企業に勤めていた夫との間に2人の子をもうけ、新築一戸建ての家に家族4人で暮らしていた。平穏な暮らしが一変したのは20年、コロナ禍が始まってから。仕事で行き詰まっていた夫が在宅勤務をするようになり、家にいるひろみさんに暴言を吐き、暴力を振るい出したのだ。

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