結論から言うと、「激安プリン」は、私には「でんぷんのお菓子」としか思えませんでした。
「卵やミルクのコクや風味」が感じられません。食感は、妙になめらかでねっとりして、やわらかい「胡麻豆腐」か「くずもち」のようです。
「胡麻豆腐」も「くずもち」も、コーンスターチや片栗粉などのでんぷんで作る食品ですが、まさにあの食感。
なぜこんな食感になるのかというと、「加工でんぷん」と「増粘多糖類」の働きによるものです。
「激安プリン」を作る「加工でんぷん」✕「増粘多糖類」
「加工でんぷん」とは、でんぷんに化学処理を施した添加物です。
現在11種類あり、粘度を増したり、「かたまり」を作ったり、劣化を防いだりするなど、それぞれに特徴があります。
「安全性」についてもさまざまな議論があるのですが、それはまた別の会に譲りましょう。
この「激安プリン」のポイントになるのは「ゼラチンのような性質」です。
ゼラチンというのは皆さんご存じのとおり、「温まると溶けて、冷えると固まる」という特徴があります。そして一度加熱・冷却をして固まったものであっても、また温めると溶けて、また冷やすと固まります。
こういう性質を持たせるために、「加工でんぷん」と「増粘多糖類」を使い、「熱可逆性」を持たせたと思われます。
そして、このタイプの「加工でんぷん」と「増粘多糖類」には「欠点」があって、食感がねっとりしすぎて、べっとり口の中に残ってしまうのです。
まさにこの「激安プリンの食感」そのものです。
業界では、「口切れが悪い」という言い方をしますが、物によっては、「口切れ」が悪いと、おいしさが半減してしまうのです。
私たちも加工食品を開発するときによく悩むのですが、たとえばパンでも、しっとりさせようとすると、「口切れ」が悪くなるのです。そこで添加物を使ったりします。「アルギン酸エステル」という「増粘剤」などを使うと、スパッと「口切れ」がよくなります。
「手作りプリン」は、もちろんそんな添加物など使わなくても、もともと「口切れ」がいいのです。口の中でホロッとほぐれて、舌にベトッと残ったりしません。おいしさだけが後味として残ります。
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