発売後、安部氏が全国の読者から受けた「何を食べればいいのか?」という質問に対する答えとして、このたび『世界一美味しい「プロの手抜き和食」安部ごはん ベスト102レシピ』を上梓した。
15年の間に書き溜めた膨大なレシピノートの中から、たった5つの「魔法の調味料」さえ用意すれば、誰でも自宅で、簡単に、時短で作れる「プロの手抜き和食」だけを厳選した1冊だ。
いまもなお「日本の食」が崩壊の一途をたどっていることに警鐘を鳴らす安部氏が、「食品のプロとして15年かけて考案した『世界一美味しい手抜き和食』の正体」について語る。
「和食は面倒」家庭で作られなくなった現実
私は2005年に、私たちの日々食べる食品にどれだけの食品添加物が使われているか、そしてそれがいかに日本の食文化を侵食しているかについて訴えた『食品の裏側』を出版しました。出版後の反響は大きく、70万部を超えるベストセラーになり、その後、私は講演会、食育セミナーに呼ばれ、全国を飛び回ることとなりました。
そこで子どもを持つ保護者の方々から、必ずといっていいほど聞かれる質問がありました。それは「では、何を食べればいいですか?」「自分はまだしも、子どもたちには何を食べさせればいいのですか?」というものです。
そのたびに、「ごく普通の手作りの和食を食べさせてください」と答えるのですが、必ずといっていいほど返ってくるのが、「和食は作るのが面倒なんです……」という言葉でした。
「だしのとり方がわからない」「洗いものが増えて、後片付けが大変」「献立が難しそう」「味付けの基本がわからない」という声を、実によく聞きました。そこで初めて気がついたのは、「家庭で『手間のかかる料理』が作られなくなっている」という事実でした。
「ごく普通の和食を作ってください」という私の答えは、答えになっていなかったのです。このことは私にとって、少なからずショックなことでした。
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