ある保育園の食育講座で、こんな衝撃的なシーンを目にしました。
その食育講座では「おかか入りのおにぎり」を作ったのですが、それを食べた5歳の子どもが「おにぎりって、こんなに美味しいんだね」と感動していたのです。保育士さんは「よかったね」と言って抱きしめて泣いていました。どうやらその子は、5歳で「手作りの温かいおにぎり」を食べたのが生まれて初めてだったというのです。
おにぎりもみそ汁も家庭で手作りされなくなり、コンビニや市販品に取って代わられている事実がそこにありました。「ごく普通の和食」さえ、日常的に作るのは難易度の高い料理となっているのです。
コロナ禍の影響で、ますます「手作り」が敬遠される
『食品の裏側』では、「食品添加物の危険性」を指摘しただけでなく、「日本の食が崩壊している」ことも訴えていました。
あれから15年経って、日本の食が「安心・安全」にシフトしてきたかというと、まったくそんなことはない。ますます崩壊の一途をたどっていると言わざるをえません。
家庭ではますます「手作り」が敬遠され、コンビニや持ち帰りの弁当、出来合いの総菜がもてはやされています。コンビニのオリジナルブランドのレトルトの総菜は、一大ヒット商品となりました。
ポンと入れるだけでOKな「〇〇の素」や「レトルトの合わせ調味料」がもてはやされ、人気料理家も「だしの素」や「化学調味料(うま味調味料)」を使ったレシピを堂々と披露するご時世です。
新型コロナの影響で「家での食事」が増えるにつれて、この傾向はますます顕著になっていると感じています。
ネットで拡散される「時短レシピ」の多くは、「〇〇の素」を使って電子レンジでチンするものばかり。その電子レンジ調理の中には、「食器」を使うのではなく「ジッパー付き保存袋」で済ませるものもあるというのですから驚きます。ジッパー付き保存袋も、近ごろはちゃんと「自立するタイプ」があって、そのまま食べれば「食器いらず」だというのです。
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