有料会員限定

〈半年前にIPO〉AI新興企業オルツに「売り上げ過大計上」の疑義、"上場ゴール"を避けられるのか

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

有料会員限定記事の印刷ページの表示は、有料会員登録が必要です。

はこちら

はこちら

縮小
オルツ
2024年10月11日に上場したオルツが激震に見舞われている。写真中央が米倉千貴(よねくらかずたか)社長(写真:オルツのプレスリリースより)

人工知能(AI)開発を手がける新興企業のオルツで、主力製品に関する売り上げの過大計上疑惑が持ち上がった。東京証券取引所グロース市場に新規株式公開(IPO)したのは2024年10月で、まだ1回しか決算を開示していないだけに株式投資家の間で物議を醸している。

同社にはジャフコ、SBIグループなどの大手ベンチャーキャピタルが出資。上場時点でキーエンス、TOPPANホールディングス、エムスリーなどの優良企業も株主に名を連ねていた。AI領域で連携する「グローバルパートナー」として明かされていたのも、エヌビディア、キーエンス、デロイトトーマツなど錚々たるブランドだった。

看板製品は「AI GIJIROKU」

疑惑が明らかになったのは、オルツが提供する議事録作成サービス「AI GIJIROKU」に関する売上高だ。AI GIJIROKUは、同社開発の音声認識技術を活用したSaaS型サービスで、2020年に販売を開始。今年1月時点で利用企業数が9000社を突破したと説明していた。オルツの売上高の約9割を占めるまさに看板製品だ。

4月25日にオルツが開示した資料によると、売り上げ過大計上の可能性が認められたのは、一部の販売パートナーを通じて顧客企業に販売された案件に関するもの。有料アカウントが実際には利用されていないにもかかわらず、売り上げとして計上されている疑義があるという。

疑義は4月初旬から証券取引等監視委員会による調査を受けている中で発覚した。オルツは第三者委員会を設置し、事実関係の調査に乗り出すことを決めた。第三者委員会の調査対象期間は、2020年12月期から2025年1〜3月期にかけての連結決算に及ぶ。

5月14日に予定していた2025年1〜3月期(第1四半期)決算の発表は延期する。情報開示後の最初の取引となった4月28日の株価は、ストップ安水準である前週末比80円(19%)安の337円まで急落。昨年11月の高値から半値以下となった。

次ページ大手ベンチャーキャピタルが殺到
関連記事
トピックボードAD