SaaSビジネスの要諦を聞いた。
成長が続く、ソフトウェア業界の中でも注目されているのがSaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)のビジネスモデルだ。何がよいのか、SaaSに特化したベンチャーキャピタル、DNXベンチャーズの日本代表を務める倉林陽氏に聞いた。
──SaaSの特長は何ですか?
SaaSのビジネスモデルのよさは、企業価値を増やすという観点で非常にわかりやすいし、よく考えられている点にある。
まずソフトウェアはカスタマイズをせず、同じものをたくさんの顧客に売っている。顧客が増えればサーバーとカスタマーサクセスの費用が増えるが、それ以外はあまり増えない。そのため、グロスマージン(粗利率)が7~8割と一般の会社より高いことが重要だ。
SaaSビジネスが魅力的な理由
もう1つは、業界の指標であるARR(編集部注:1カ月の収入を12倍にして年換算したもの。成長率を測る指標として使われる)が今年よりも、来年のほうが大きいということが大事だ。
コーポレートファイナンスの理論では、「企業の価値は将来のフリーキャッシュフローの現在価値」と教えている。そのため、粗利率が高いSaaSのモデルは、わかりやすくいえば、ARRと利益がほぼ一緒、つまりARRとフリーキャッシュフローがほぼ一緒だと考えればよい。
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